1998 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存血管の移植後動脈硬化性病変に対する分子生物学的制御法の開発
Project/Area Number |
10877208
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
和田 行雄 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90167213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 啓雄 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70275212)
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Keywords | 血管移植 / 動脈硬化 / アポトーシス(Apoptosis) / Fas / Fas Ligand / perforin / granzymeB |
Research Abstract |
大血管移植後の動脈硬化性病変の発症機序の解析を行い、以下の研究実績を得た。 1) 同種、異種大血管移植モデルの作成;凍結保存血管および新鮮血管を用いて、同系(LEW toLEW),同種(BN to LEW),異種(Guinea pig to LEW)の合計6群の移植ラット(各群n=6)を作成した。すべての群で移植後、血管の完全閉塞は認めなかったが、異種群の硬化性病変の進展は他群よりも非常に早かった。また、凍結と新鮮の両群間で病状進展の差異は認めなかった。 2) アポトーシス関連タンパク、および遺伝子群の発現解析:上記の新鮮血管群(3群)に対して以下の経時的(移植後、10日1ヵ月,3ヵ月,6ヵ月,12ヵ月)な発現解析を行った。2-A)HE-染色/TUNEL染色:同系に比べて同種では、移植後3ヵ月までは内膜の著明肥厚と外膜層への細胞浸潤が見られ、中膜、内膜下層でのアポトーシス陽性細胞の著明増加(最大1ヶ月目)が認められた。6ヵ月以降は同部位の繊維化増生が著明となった。異種群については現在検討中である。2-B)アポトーシス関連分子群の免疫染色:アポトーシス誘導分子、Fasの発現は移植後10日目をピークとして同種群の血管内皮細胞に強い発現を認めたが、増生した内、中膜平滑筋細胞には発現しなかった。一方、抑制分子のBcl-2は内、中膜の増生期(3ヶ月目)において平滑筋細胞に強く発現していた。2-C)遺伝子レベルでの発現解析:グラフトより経時的にmRNAを抽出し、アポトーシス関連分子群についてRT-PCRを行い、各分子の発現量を定量した。同種群においては、Fas,FasL,perforin,granzymeBの発現量が移植後1ヵ月まで経時的に増加したが、同系群では変動を認めなかった。以上の解析により、移植後の動脈硬化性病変の進展には、アポトーシス誘導分子群の活性化によるアポトーシス促進と抑制分子群による抑制が重要な役割を果たしており、両者のバランスの上に成り立っていると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hiroo Nakajima, et al: "Perforin/Granzymes Pathway Operates in Xenogeneic Human Antipig Cytotoxcity" Transplantation Proceedings. Vol,30. 76-78 (1998)
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[Publications] Hiroo Nakajima, et al: "FTY720 Inhibits the mRNA Expression of Intragraft Cytotoxic Molecules, Leading to Cardiac Allograft Survival." Transplantation Proceedings. Vol,30. 2217-2220 (1998)
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[Publications] Bonfoco Emanuela, et al: "Inducible Non-Lymphoid Expression of Fas-Ligand is Responsible for Super antigen-Induced Peripheral Deletion of T cells." Immunity. Vo1,9. 711-720 (1998)
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[Publications] 中嶋啓雄, 岡隆宏: "臓器移植とアポトーシス" 「外科治療」, 総説. Vo1,76. 304-310 (1997)
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[Publications] 中嶋啓雄, 岡隆宏: "異種移植の現状と将来" 「外科治療」, 総説. Vo1,77. 585-594 (1997)
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[Publications] 中嶋啓雄, 岡隆宏: "新規免疫抑制剤FTY720の基礎と臨床応用について" 「外科治療」, 総説. Vo1,79. 465-469 (1998)
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[Publications] Henkart PA, H.Nakajima: "Techniques in Apoptosis ; A User's Guide" T.G.Cotter and S.J.Martin edited, 19 (1996)
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[Publications] 中嶋啓雄, 岡隆宏: "腎移植における免疫抑制療法" 高橋公太編集(日本医学館), 15 (1998)