1998 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いた脳内アデノシン受容体定量による脳神経損傷とその可逆性評価法の開発
Project/Area Number |
10877211
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 喜一 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 主任研究員 (50143037)
長岡 司 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70280980)
成相 直 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00228090)
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Keywords | PET / 神経受容体 / アデノシン / A1受容体 / A2a受容体 / 脳虚血 / 神経外傷 / てんかん |
Research Abstract |
今年度は、ネコ中大脳動脈一過性閉塞モデルでの、動物PETによるアデノシンA1神経受容体定量に関する実験を完了した。13匹の成猫13匹を使用し経眼窩的に右中大脳動脈を一過性に閉塞させた後再潅流した。東京都老人総合研究所ボジトロン医学研究施設既設の動物PETカメラ(SHR-2000浜松ホトニクス社)に虚血前、虚血時及び再潅流直後の脳血流を定量した。これに引き続き再潅流後のアデノシンA1受容体結合能を測定し続いて測定した中枢性ベンゾディアゼピン受容体結合能、ブドウ糖代謝と対比しその意義を検証した。計測終了までに脳の腫張が生じたネコはこの時点で屠殺し脳を取り出した。腫張のない個体は覚醒させ鎮痛剤、抗生剤投与下に様子を観察し体調に問題ないものは2週間後、2ヶ月後に上記計測に加え末梢性ベンゾディアゼピン受容体の定量をも行った。2ヶ月followした後、屠殺し潅流固定の上病理変化を検証した。PET画像はネコのMRI画像に重ね合わせ脳局所の定量値の経時的評価を行った。直後から脳腫脹に至る重篤な虚血を生じた個体では、再潅流直後からアデノシンA1受容体結合能の広範な低下が生じていた。また、生存した個体においても脳梗塞に陥る部分は再潅流直後よりアデノシンA1受容体結合能低下により最も鋭敏に予測できた。脳血流値やブドウ糖代謝の低下部位は、一時的な梗塞部よりは遥かに広範であった。この結果は第19回国際脳循環代謝シンポジウムに縁台採用され発表予定である。今年度はさらに病理組織学的所見と対比させ検討を進める。 また、てんかんモデルを用いてアデノシンA1神経受容体の経時的変化を計測するため扁桃体へのカイニン酸局所注入モデル制作を進めた。次年度はこのモデルの計測を中心に行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nariai,T,et al.: "Posthyperventilatory steal response in chronic cerebral hemodynamic stress.a positron emission tomography study." Stroke. 29(7). 1281-92. (1998)
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[Publications] Ishiwata,K,et al.: "Metabolic analysis of[C11]flumazenil in human plasma : Assessment as the standardized value for quantitative PET studies." Ann Nucl Med. 12(1). 55-59. (1998)
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[Publications] Noguchi,J,et al.: "Evaluation of carbon-11-labeled KF17837 : a potential CNS adenosine A2a receptor ligand." J Nucl Med. 39(3). 498-503. (1998)
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[Publications] 成相直: "動物用PET-脳機能の研究 : 疾患モデルを用いて." PET通信. 25. 12-14. (1998)
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[Publications] 成相直: "「放射線診療の新地平」-重ね合わせ画像で見えてくるもの-" 新医療. No.292. 41-44 (1999)
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[Publications] Kuroiwa T et al.: "Different apparent diffusion coefficient : water content correlations of gray and white matter during early ischemia." Stroke. Apr,29(4). 859-65 (1998)