1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管形成術後の再狭窄に対するDNA/RNA合成阻害剤による治療法の開発
Project/Area Number |
10877216
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
美馬 達夫 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30192363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 貴久 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (20230071)
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Keywords | 経皮的血管形成術 / 再狭窄 / RNA合成阻害剤 / アントラサイクリン / アドリアマイシン / 血管攣縮 / エンドセリン |
Research Abstract |
経皮的血管形成術の後に生じる再狭窄には、fibroblast growth factor(FGF)やvascularendothelial growth factor(VEGF)をはじめ幾つかのペプチドが強く関与している可能性が報告されてことから、我々は、RNA合成阻害剤であるアントラサイクリン系抗癌剤のアドリアマイシンを用いて、動物モデルにて再狭窄が実際に抑制できるか検討を行った。ラットの大腿動脈の血管攣縮モデルにおいて、アドリアマイシンが0.6mg/kg腹腔内投与で血管攣縮を完全に抑制することを確認し、その後、両薬剤が同じ容量でendothelin-1(ET-1)の血管における過剰発現を完全に抑制することをRT-PCRで確認した。続いて、ラットの総頚動脈において、内皮をバルーンカテーテルにて剥離し血管再狭窄を起こす実験モデルを使用し、アドリアマイシンの効果を検討した。内皮の剥離は総頚動脈の右側のみとして、左側は無処置としてコントロールに用いた。アドリアマイシンは0.6mg/kgを、手術直後と7日後に腹腔内投与し、動物を14日後に環流固定した。左右の血管内腔径を計測し、血管再狭窄の程度を狭窄側の対側コントロールとの比(%)で表わすと、無治療群では55.3±15.6%(n=6)の狭窄を来したのに対して、アドリアマイシン治療群では78.6±23.0%(n=6))と狭窄を有意に抑制した(P<0.05)。RT-PCRにて、ET-1の発現を検討したところ、無治療の狭窄側の血管にはET-1の発現が認められたが、アドリアマシンの投与で、その発現が消失していた。以上の結果は、ET-1も血管内皮、平滑筋の増殖に作用し再狭窄の原因の一つとなっている可能性と、RNA合成阻害剤が再狭窄に対する治療薬として臨床応用できる可能性を示唆している。
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