2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管形成術後の再狭窄に対するDNA/RNA合成阻害剤による治療法の開発
Project/Area Number |
10877216
|
Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
美馬 達夫 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30192363)
|
Keywords | 脳血管攣縮 / 血管狭窄 / エンドセリン / RNA合成阻害剤 / ドキソルビシン / RT-PCR / ラット |
Research Abstract |
経皮的血管形成術が成功しても、その約3ヶ月後に30-40%の患者に血管再狭窄が生じることは、患者の良好な予後を阻んでいる大きな問題である。再狭窄の中心的な病態は、内皮細胞および血管平滑筋の増殖であり、その増殖作用をもつ原因物質として、fibroblast growth factor(FGF)、vascular endothelial growth factor(VEGF)、などの関与が重要であると考えられているが、最近、血管内皮由来の強力な収縮物質であるエンドセリン(endothelin)の役割の重要性が報告され注目されている。血管狭窄モデルとして、くも膜下出血後に遅発性に生じる脳血管攣縮と類似した実験モデルを使用し、エンドセリンmRNAの発現の変化をRT-PCR法で検討し、RNA合成阻aドキソルビシンの投与が血管狭窄を実際に予防し、エンドセリンのRNA発現も抑止しているか、を検討した。ラットの大腿動脈の血管狭窄は、血液を周囲におおった7日後(Day7)には、対照の血管径の約60%にまで狭窄した。病理学的検索では、平滑筋細胞の増殖が認められた。ドキソルビシンを0.06mg/kg、0.2mg/kg、0.6mg/kgの3種類の容量にふって、Day1にだけ腹腔内投与したところ、明らかな容量依存性をもって血管狭窄を抑制し、0.06mg/kgでは効果を示さなかったが、0.2mg/kgでは、対照の約90%に狭窄を軽減し、0.6mg/kgでは完全に血管狭窄を抑止した。RT-PCR法による解析では、エンドセリンのmRNA発現はごく微量のためか、狭窄血管のみに発現が示され、ドキソルビシンの投与は、エンドセリンのmRNAの発現を抑止した。以上の結果は、エンドセリンが血管狭窄の病態に役割を果たしており、RNA合成阻害剤の投与が狭窄の抑止に有効であることを示している。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Mostafa MG, et al.: "Doxorubicin, an RNA synthesis inhibitor, prevents vasoconstriction and inhibits aberrant expression of endothelin-1 in the cerebral vasospasm model of the rat"Neuroscience Letters. 283. 197-200 (2000)