1999 Fiscal Year Annual Research Report
VEGFに結合するマトリックス成分とその分解による活性調節機構
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10877231
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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Keywords | 血管内皮増殖因子 / 血管新生阻害 / 関節軟骨 / マトリックスメタロプロテアーゼ / 慢性関節リウマチ |
Research Abstract |
軟骨組織は無血管性の特殊に分化した組織である。本研究では、本来血管のない関節軟骨組織において、強力な血管新生因子である血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を検討するとともに、VEGFに結合することでその生理活性を調節する分子のクローニングを目指す。また、VEGFと未知の結合分子との複合体をマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)で分解することでVEGF活性の変化を調べる。得られた成果は以下の通りである。 (1).慢性関節リウマチと変形性関節症の関節軟骨組織においてVEGF_<121>とVEGF_<165>のmRNA発現が認められ、in situ hybridizationで軟骨破壊の進んだ部位の軟骨細胞が標識された。また、VEGF受容体はKDRとflt-1は陰性であったが、neuropilin-1が検出された。軟骨組織器官培養上清中にVEGF蛋白が検出され、その産生は培養軟骨細胞でも確認された。免疫染色による軟骨細胞のVEGF染色陽性率は、Mankin scoreと有意な相関を示し(n=32,r=0.827,p<0.0001)、軟骨破壊の程度と関連が見られた。 (2).VEGFに結合する分子をクローニングするために、VEGF_<165>をbaitとしてGAL4based yeast two hybrid systemにより軟骨細胞cDNAライブラリーをスクリーニングした。陽性を示した162クローンのうち128クローンを部分シークエンスしたところ、既知の分子としてフィブロネクチン、コラーゲン、テネシンなどの細胞外マトリックス分子の他、膜タンパクや種々のサイトカインなどが含まれていた。これらの分子とVEGF_<121>とVEGF_<165>との結合能をプレートアッセイとBlACOREを用いて検討中である。また、VBGF_<165>との複合体での血管内皮細胞の増殖活性、複合体のMMPでの分解と活性変化を検討予定である。
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