1998 Fiscal Year Annual Research Report
運動反応時間を用いた尿道括約筋の付随意運動と随意運動の鑑別
Project/Area Number |
10877247
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浪間 孝重 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70282069)
|
Keywords | 尿道括約筋 / 運動反応時間 / 随意運動 |
Research Abstract |
本研究は、尿道括約筋機能の新しい評価法として:筋の興奮ー収縮連関を反映すると考えられる運動反応時間を初めて泌尿器科領域の臨床検査に導入し、尿道括約筋の病的な不随意収縮と正常な随意収縮のより客観的かつ定量的な鑑別法の確立を目的としたものである。平成10年度は以下の研究計画に沿って研究を進めた。 1) 運動反応時間の測定: 陰茎背神経の電気刺激による尿道括約筋の反射性収縮(球海綿体反射)を利用して、尿道括約筋筋電図と括約筋部尿道内圧の同時測定を行い、刺激開始・筋電図活動開始・尿道収縮開始の各時間軸から潜時や運動反応時間の測定を試みる。 その結果、意思疎通可能な患者にて、球海綿体反射時の各パラメータを測定したところ、刺激から筋電図活動開始までの潜時は平均36ms、刺激から尿道収縮開始までの潜時は平均59msであった。従って、球海綿体反射時の運動反応時間は平均23msとなった。臨床患者を対象として、上記の方法論にて運動反応時間の測定が可能であることが、初めて判明した。 2) 不随意収縮と随意収縮の鑑別: 1)で方法を確立した後、神経学的な正常例において、不随意収縮と随意収縮時の運動反応時間を測定する。具体的には、不随意運動としては最大電気刺激時の球海綿体反射をスタンダードとして用い、随意収縮としては球海綿体反射が誘発されない程度で知覚閾値以上の陰茎背神経への電気刺激をトリガーとして、被験者に尿道随意収縮を行わせて、これをスタンダードとする。 その結果、随意収縮時の運動反応時間の測定では、球海綿体反射時の測定に比較して正確な筋電図の開始時間の同定が困難であった。以上から、積分筋電図による筋電図開始時間の測定等の方法論の改良が必要と考えられた。 平成11年度は、球海綿体反射を利用した不随意収縮時の運動反応時間の正常値の決定を行い、随意収縮との違いを鑑別する予定である。
|