1999 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚癌に対する新しい治療法の開発-遺伝子治療の可能性を求めて-
Project/Area Number |
10877281
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉原 平樹 北海道大学, 医学部, 教授 (20002157)
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Keywords | ゲルソリン / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
(目的)我々は、ヒト皮膚悪性黒色腫組織において通常の90KDaのゲルソリン以外に,交差反応する約85KDaのバンド(p85)がウエスタンブロット法にて高頻度に認められることを発見した。今回、p85の一次構造の解析を試みた。 (方法)ヒト皮膚悪性黒色腫27検体を用いた。材料より蛋白質を抽出し,ウエスタンブロット法,あるいは免疫沈降法を用い,ゲルソリンの発現を2種類のモノクロナール抗体を用いて解析した。また、免疫沈降とSDS-PAGEにより検体から抽出した蛋白質のアミノ酸配列の一部同定を行った。また、SCIDマウスへヒト黒色腫細胞株を移植し、in vivoにおけるゲルソリンの発現の変化を調べた。 (結果)ヒト皮膚悪性黒色腫検体27検体中24例で,通常の90KDaのゲルソリンのバンド以外に,p85が認められた。p85は、90KDaのゲルソリンのC末端を認識する抗体では検出されなかった。また、この蛋白質のN末端のアミノ酸配列は、90KDaのゲルソリンのN末端とほぼ一致した。C末端の5KDaのフラグメントを、抗原認識部位の異なる2種類のモノクロナール抗体を用いてウエスタンブロット法で検索したが、C末端の5KDaのフラグメントは検出されなかった。ヒト黒色腫細胞株はin vitroにてp85を発現していなかったが、in vivoにてp85の発現が確認できた。 (結語)ヒト皮膚悪性黒色腫細胞は,in vivoにて85KDaの異型ゲルソリンを高頻度に発現する。このp85は野生株ゲルソリンのN末端と共通のアミノ酸配列を持っていた。
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