1998 Fiscal Year Annual Research Report
各種薬物投与による培養人工皮膚モデルの臨床応用への基礎
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10877284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 勝也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90273458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 茂彦 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30187728)
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Keywords | 人工真皮 / basic fibrobkst growth factor / ゼラチン粒子 / 徐放 / 皮膚全層欠損創 |
Research Abstract |
我々はアテロコラーゲンスポンジ層とその上層にシリコンシ一トを持つ2層性人工真皮を開発し、現在、広範囲の3度熱傷等の皮膚全層欠損創に対し臨床応用が行われている。二次植皮まで2〜3週間の期間を要し、また感染創には使用しにくいものと考えられる。そこで我々は、真皮様組織の形成を早め、感染に強い母床を築くために人工真皮にbasic fibroblast growth factor(bFGF)の添加を試み、bFGFの有する線維芽細胞増殖作用、血管新生促進作用による効果を検討した。 1, モルモットの背部に2×2cm^2の皮膚全層欠損創を作成し、bFGF100μgを投与した人工真皮を移植した。対象群はbFGFを投与していない従来の使用法とし、その組織学的変化を経日的に検討した。またゼラチン粒子に含浸させたbFGFを人工真皮内に投与し、浸出液で溶解したゼラチン粒子からbFGFを徐放させることにより単回投与との比較検討も行った。 bFGF添加群は無添加群に比べて、線維芽細胞の侵入、血管新生が増加し有意差が認められた。またbFGF徐放群では単回投与群と比較して線維芽細胞の侵入量、コラーゲン産生量に差が見られ、コラーゲンスポンジ上層での血管新生も豊富にみられた。 2, 次に、bFGFを0,10,50,100μg投与した人工真皮を移植し、単回投与群、徐放群でその組織学的変化を経時的に検討した。 線維芽細胞の侵入、血管新生はbFGF投与で用量依存性に増加が認められた。bFGF投与による効果は、単回投与群に比し、徐放群において有意に認められ、特にbFGF50μg以上の徐放が有効であった。 人工真皮にbFGPを添加し徐放させることにより、より良い母床を早く構築でき、臨床応用への適応拡大か期待される。
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