1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10877295
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 正明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20193211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宏 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10232464)
池田 やよい 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (00202903)
玉盛 三美 東京医科歯科大学, 医学部, 学術振興会特別研究員
|
Keywords | 細胞増殖 / 蛋白質合成 / DNA合成 / サイクリン / CDKキナーゼ / 心筋 / 肥大 |
Research Abstract |
細胞が増殖する際には、細胞分裂に先立ち、細胞の大きさも増加しなければならない。しかしながら、細胞の大きさの制御についてはほとんど明らかにされていない。その問題を明らかにするため、生後分裂しない細胞として知られている心筋細胞に着目した。心筋細胞は、細胞増殖刺激に反応して、細胞の大きさの増加(肥大)を起こすため、蛋白質合成を制御する経路を解析するうえで非常に有効な実験系であると考えられる。 サイクリンDは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)のうちCDK4/6と結合して核に移行し、レチノブラストーマ癌抑制蛋白質(Rb)をリン酸化することによりDNA合成開始に関与することが明らかにされている。我々は、既に、種々の細胞増殖制御因子の遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを用いることにより、サイクリンが心筋細胞の肥大に関与していること、その際にRbのリン酸化が必須でないことを見いだした。 今年度、詳細な解析を行い、細胞の増殖シグナル伝達に重要なRas癌遺伝子が、サイクリンDの発現と肥大を誘導すること、Rasのシグナル伝達経路の阻害剤でサイクリンDの発現と肥大の両方が抑制されることを明らかにした。さらに誘導されたサイクリンDは、細胞質に止まり、Rbが発現する核に移行しないことを見出した。この結果は、サイクリンDの発現が上昇するにもかかわらず、肥大した心筋でRbがリン酸化されていない事実を説明できる。 本研究の成果は、サイクリンDが細胞質において細胞増殖とは異なる経路を介して細胞の大きさを制御していることを示唆し、さらに最終分化した心筋細胞が増殖刺激に対して反応性を保っているのもかかわらず、なぜ、増殖しないかについて重要な知見をもたらすものと考えられる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Ohtani, K.: "Cell Growth-Regulated Expression of mammalian MCM5 and MCM6 Genes Mediated by the Transcription Facter E2F"Oncogene. 18. 2299-2309 (1999)
-
[Publications] Ota, M.: "Accumulation of p300 mediates transcriptional repression of simian virus 40 enhancer in undifferentiated F9 embryonal carcinoma cells."Cell Growth & Differentiation. 9. 989-997 (1998)
-
[Publications] Tamamori M.: "Essential roles for G1 cyclin-dependent kinase activity in development of cardiomyocyte hypertrophy."Am. J. Physiol.. 275. H2036-H2040 (1998)
-
[Publications] Ohtani, K.: "Regulation of cell growth-dependent expression of mammalian CDC6 gene by the cell cycle transcription facter E2F."Oncogene. 17. 1777-1785 (1998)