1999 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞から破骨細胞にいたる分化過程におけるK^+チャネルの発現調節とその意義
Project/Area Number |
10877296
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川瀬 知之 新潟大学, 歯学部, 助教授 (90191999)
|
Keywords | 造血幹細胞 / K^+チャネル / 分化 |
Research Abstract |
初年度に破骨細胞培養系を確立するに至らなかったこともあり、本年度の研究の中心を造血幹細胞の分化程度とK^+チャネルの活性および発現に移して検討を行った。Phorbol ester処理によりマクロファージに分化させた場合とDMSO処理により顆粒球に分化させた場合のそれぞれにおいて、K_<ATP>チャネル開口薬であるpinacidilの効果を比較した。しかし、いずれの場合においても、pinacidilによる過分極が観察され有意差は認められなかった。これは、Upstate社のポリクローナル抗体を用いたWesternblot法にからも確認された。これは、分化程度が不十分だった可能性もあり、さらに長時間処理をした場合について検討しているところである。 また、比較参考的な見地から、ヒト舌扁平上皮癌細胞(SCC25)の増殖および分化活性とK_<ATP>チャネルの活性について検討した。K_<ATP>チャネル開口作用があるカルチトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)はSCC25細胞のK^+の細胞外への流出を促進し、同様の結果はpinacidilにおいても観察された。しかし、増殖に関しては、CGRPは増殖を弱いながらも有意に促進するのに対してpinacidilは効果が認められなかった。これは、K_<ATP>チャネル活性が直接増殖活性と連関しているとは言えないことを示唆している。また、CGRPは分化度の指標とされているケラチン18の発現に明らかな影響を及ぼさなかった。 一方、われわれはごく最近、エナメル蛋白質がSCC25細胞の分化および増殖活性を顕著に抑制することを見出した。今後は、この系において、K^+の活性および発現がどのように調節されているか明らかにしていきたい。
|