1998 Fiscal Year Annual Research Report
cbfa1ヘテロ接合体マウスはヒト鎖骨頭蓋異形成症のモデルとなるか?
Project/Area Number |
10877304
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山口 明 昭和大学, 歯学部, 助教授 (00142430)
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Keywords | Cbfa1 / 鎖骨頭蓋異形成症 / 骨格異常 / 骨形成 |
Research Abstract |
近年、遺伝子工学の手法が急速に進歩して、いくつかの骨系統疾患の原因遺伝子が明らかにされている。しかし、多くの骨系統疾患は発生頻度が低いために、人体材料を用いての解析が困難な場合が多い。そのため、種々の疾患に対応する動物モデルが存在すれば、各疾患の病態、病因、治療法などを詳細に検討することが可能となる。共同研究者である大阪大学医学部第3内科の小守壽文らは、gene targettingの手法を用いて、runt遺伝子ファミリーに属するcbfa1遺伝子が欠失するcbfa1ノックアウトマウスを作製した。小守らは、これらのマウスを解析中に骨格の異常に気付き、私共のグループと共同研究を開始した。その結果、我々はcbfa1ノックアウトマウス(cbfa1 -/-)では、骨芽細胞の分化が著明に抑制され、骨組織が全く形成されていないことを明らかにした(Cell 89:755-764,1997)。また、cbfa1ヘテロ接合体(cbfa1 +/-)のマウスでは鎖骨や頭蓋の形成不全などが認められ、これらの症状はヒトの鎖骨頭蓋異形成症の骨格異常に類似していることを報告した(Cell 89:755-764,1997)。本研究では、cbfa1ヘテロ接合体マウスとヒト鎖骨頭蓋異形成症の異同を解析することを試み、骨系統疾患の病態・病因の解析、新しい治療法の開発への糸口を掴むことを目的に研究をい、以下の結果を得た。 1) 胎生18.5日齢のcbfa1ヘテロ接合体マウスでは鎖骨がほとんど形成されていなかった。また、生後6週齢までのcbfa1ヘテロ接合体マウスの鎖骨を軟X線および組織学的に観察したが、すべての固体で鎖骨の形成不全が認められた。 2) 胎生18.5日齢のcbfa1へテロ接合体マウス頭蓋では野生型マウスに比べて大泉門が大きく開存していた。また、生後6週齢のcbfa1へテロ接合体マウスの頭蓋でも大泉門の開存が認められた。 3) 現在、頭頂骨とcbfa1ヘテロ接合体マウスで異常が認められない骨格である脛骨における骨形成の状態を形態計測的に解析中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kusafuka K,Yamaguchi A.,et al.: "Expression of bone morphogenetic proteins in salivary pleomorphic adenomas." Virchows Archiv. 432. 247-253 (1998)
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[Publications] Wada Y,Yamaguchi A,et al: "Changes in osteoblast phenotype during differentiation of enzymatically isolated rat calvaria cells." BONE. 224. 479-485 (1998)
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[Publications] Kawasaki K,Yamaguchi A,et al.: "Effcets of recombinant human BMP-2 on differentiation of cells isolated from human bone,muscle and skin." BONE. 223. 223-231 (1998)
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[Publications] Gao Y-H,Yamaguchi A:,et al.: "Potential role of Cbfa1,an essential transcriptional factor for osteoblast differentiation,in osteoclastogenesis: regulation of mRNA expression of osteoclast differentiation factor (ODF)." Biochem.Biophys.Res.Commun.252. 607-702 (1998)
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[Publications] Harada H,Yamaguchi A,,et al.: "Cbfa1 isoforms exert functional differences in osteoblast differentiation." J.Biol.Chem.in press. (1999)
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[Publications] Kobayashi M,,Yamaguchi A,,et al.: "Recombinant human bone morphogenetic protein-2 stimulates osteoblastic differentiation in cells isolated from human periodontal ligament." J.Dent.Res.in press. (1999)