1999 Fiscal Year Annual Research Report
歯生病巣感染における歯凝集反応試験の確立と臨床応用に関する血清学的臨床的研究
Project/Area Number |
10877331
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
瀬上 夏樹 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40148721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 裕 金沢医科大学, 医学部, 助手 (70298355)
小淵 正次 金沢医科大学, 医学部, 助手 (70257450)
鶴迫 伸一 金沢医科大学, 医学部, 助手 (60288305)
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Keywords | 歯性病巣感染 / 辺縁性歯周炎 / 掌蹠膿庖症 / 慢性蕁麻疹 / 菌凝集反応試験 |
Research Abstract |
当院皮膚科にて歯性病巣感染を疑われ当科を受診した患者190名に口腔内診査を施行した.患者は男性117名,女性73名,平均年齢は49歳(19-73歳)であった.皮膚疾患名では,掌蹠膿庖症104名(55%),慢性蕁麻疹48名(25%),結節性紅斑19名(10%)であり,口腔領域の疾患名は慢性辺縁性歯周炎は121名(64%),根尖性歯周炎は66名(35%),智歯周囲炎は31名(16%)であった.排膿は91名(78%)にみられ,全例に細菌検査をおこなった.グラム陽性球菌86例(94%),グラム陰性球歯62例(68%),グラム陽性桿菌29例(32%),グラム陰性桿歯7例(8%)が検出され,グラム陽性球菌のほとんどは連鎖球菌であり,同定された連鎖球菌はStr.sanguis22例(24%),Str.intermedius 13例(14%),Str.mitis 9例(10%),Str.salivarius 5例(6%),Str.constellatus 5例(6%)であった.このうち50例に対して血清凝集反応試験を行った結果,32例(64%)に抗体価の上昇を認めた.患者血清の凝集価の平均は,Str.sangui 8-16倍,Str.intermedius16-32倍,Str.mitisは8-16倍であり,健常者25名の凝集価(Str.sangui 4-8倍, str.intermedius 8ー16倍 str.mitis4-8倍)に比べ高値を示した.歯科治療終了後に行った皮膚症状の判定では,治癒42名(22%),軽快93名(49%),不変55名(29%)であり,135名(71%)に症状の改善がみられた.血清凝集反応試験を行った患者50例のうち36例(72%)に皮膚症状の改善がみられた.抗体価の上昇を認めた32例中28例(88%)に皮膚症状の改善を認めたが,抗体価の上昇が認められなかった18例中では8例(44%)に皮膚症状の改善を認めた.歯性病巣感染では血清凝集反応試験により抗体価の上昇がみられた患者では口腔内原病巣の治療により皮膚症状の改善が期待できることが示唆された.現在さらに症例を増やすとともに詳細かつ多角的な検討を加え,研究を進めている.
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