1998 Fiscal Year Annual Research Report
吸啜から咀嚼への移行期における体性感覚伝達機構の発達
Project/Area Number |
10877334
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白川 哲夫 北海道大学, 歯学部附属病院, 講師 (00187527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三留 雅人 北海道大学, 歯学部, 助手 (50261318)
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20162802)
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Keywords | 体性感覚 / ニューロン / マルチ電極ディッシュ / 相互相関解析 / 三叉神経核 / バレレット / 吸啜運動 |
Research Abstract |
中枢における体性感覚の伝達・可塑性メカニズムを明らかにするためのステップとして、新生ラットより単離した神経細胞をマルチ電極ディッシュ上で分散培養し、4〜8個の単一神経細胞の自発発火を同時計測した。神経細胞の自発発火は培養4日目以降で検出可能であった。複数の神経スパイクの発火タイミングについて自己相関ならびに相互相関解析を行って、個々の神経細胞の発火特性ならびに神経細胞間のシナプス形成とそのタイプについて検討した。実験に用いたラットの視床下部ニューロンでは、相互相関法で解析した310のペアのうち72に興奮性の結合が、14に抑制性の結合が確認された。興奮性の結合が認められた細胞間のスパイク遅延時間は平均で1.28ミリ秒、抑制性結合での発火抑制時間は約100〜140ミリ秒であった。神経生理学的研究と並行して、解剖学的アプローチによりマウス三叉神経核におけるバレレット形成について研究を進めた。新生児期の上唇部への知覚刺激が口腔機能に関与する中枢の発達にどのように関連しているかを知る目的で、マウスの上唇部ならびに上顎部の洞毛に対応して存在する脳幹部三叉神経核バレレットの形成と臨界期を検索した。その結果、上唇部ならびに上顎部バレレットはそれぞれに特異的な臨界期が存在することが判明した。上唇部バレレットについては、吸啜運動の際、常に強い刺激を受け続けることにより、出生後急速に発達成熟することが示唆された。次年度はこれらの結果を基に神経細胞の空間的分布とシグナル伝達ならびにシナプス形成との関連について検討する計画である。
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Research Products
(1 results)