1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10877347
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平尾 健一 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 教授 (60001757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津江 広人 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 助手 (30271711)
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Keywords | ビイソキノリン / 絶対構造 / ラセミ化 |
Research Abstract |
医薬品合成を追求する際には、幾つかの難しい問題を解決しなければならない。中でも慎重に考慮されなければならないのは、不斉合成を含む段階であることは論を待たない。我々は、光学活性なl,1'-ビイソキノリンが新しいキラルな反応場の構築材料となることを期待し、8位および8'位に一連のアルキル基を導入したビイソキノリン誘導体の物性および反応性についての基礎的な研究を開始した。まず、平成10年度においては、以下の研究項目を実施した。(1)8,8'-ジアルキル-1,1'-ビイソキノリンの合成は、1-ハロイソキノリンのホモカップリング反応によって達成した。ここで、アルキル基として、メチル、エチル、およびイソプロピル基を持つものは、好収率で合成することができた。しかしながら、tert-ブチル体については、立体障害によって上記カップリング反応が全く進行せず、反応条件を種々検討したものの目的物を得ることはできなかった。そこで、(2)合成することのできた誘導体について、キラルカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー法ならびにジアステレオメリックなパラジウム二核錯体を利用して光学分割を行った。次いで、(3)各誘導体の絶対構造を、励起子キラリティー法および上記二核錯体のNMR法により決定した。これらの二種類の方法によって導かれた結果は一致し、何れの誘導体においても、(+)-体が(R)-配置で、(-)-体が(S)-配置であることが分かった。なお、以上の研究成果については、欧文誌にて公表済みである。現在、置換基の嵩高さが系統的に異なる一連のビイソキノリン誘導体のラセミ化現象を検討しており、平成11年度においては、計算機化学を併用しながら回転障壁を支配する因子を解明する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Tsue, H.Fujinami,et al.: "Absolute Configuration of 8,8'-Dialkyl-1,1'-Biisoquinoline" Chemistry Letters. 1999・1. 17-18 (1999)