1998 Fiscal Year Annual Research Report
インダン,テトラリン骨格を有する人工脱炭酸酵素の創製
Project/Area Number |
10877354
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 進 東京理科大学, 薬学部, 教授 (70101102)
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Keywords | インダン / ペプチドミメティック / 脱炭酸酵素 / テトラリン / オキザロ酢酸 |
Research Abstract |
抗菌性ペプチドであるマゲイニン2は両親媒性α-ヘリックス構造をとって、抗菌作用を示すことが知られている。本研究者らはこのことに着目してインダン骨格の1位と6位にリジンとフェニルアラニンの側鎖を導入したペプチドミメティックを合成し、これらがマゲイニン2と同程度の抗菌活性を有していることを明かにした。一方、オキザロ酢酸脱炭酸酵素も両親媒性α-ヘリックス構造をとって活性を発現することが知られており、ペプチドミメティックの脱炭酸酵素活性に興味を持ち検討した。本研究では、一般合成法の確立と、脱炭酸酵素活性の評価の二点について検討した。まず、一般合成法については、共通中間体として1位と6位にメトキシカルボニル基を有するインダンの効率的な合成法を見い出し、さらに、二種類のエステルのうち1位のエステルのみを選択的に加水分解することができた。これにより、任意のアミノ酸側鎖を1位と6位に位置選択的に導入できるようになった。一方、種々のペプチドミメティックの脱炭酸酵素活性を測定した結果、インダンの1位にベンジル基(フェニルアラニンの側鎖)を二個、6位にアミノブチル基(リジンの側鎖)を導入した化合物がオキザロ酢酸の脱炭酸を促進し、しかも天然の酵素以上の基質特異性(KM 0.39mM)を持っているという興味ある結果を得ることができた。また、オキザロ酢酸の脱炭酸は、ジアミン誘導体で促進されることは既に知られているので、次年度の方針としては、インダン骨格にアミノ基を二個有する側鎖を導入して、より優れた脱炭酸酵素活性を有する化合物の創製を行う計画である。
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Research Products
(1 results)