1999 Fiscal Year Annual Research Report
インダン,テトラリン骨格を有する人工脱炭酸酵素の創製
Project/Area Number |
10877354
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 進 東京理科大学, 薬学部, 教授 (70101102)
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Keywords | ペプチドミメティック / インダン / オキザロ酢酸脱炭酸酵素 |
Research Abstract |
ペプチドをもとに「似て非なる小分子」を分子設計するペプチドミメティックの開発研究の一環として、マゲイニン2(アフリカツメガエルの皮膚から単離された23アミノ酸残基からなる抗菌性ぺプチド)に興味を持ち、インダン骨格にFとKの側鎖をつけたペプチドミメティックPM2をデザインした。幸運にもPM2はマゲイニン2に匹敵する抗菌活性を有していることを確認できた。この他、ヒト赤血球に対して溶血作用を示さない化合物や、胃潰瘍の原因として有力なヘリコバクタ-・ピロリ菌に対して特異的に作用する化合物なども見い出した。 一方、オキザロ酢酸脱炭酸酵素のアミノ酸配列をもとにリジン残基を多く含み両親媒性をとるようにデザインされたオリゴペプチドが酵素類似の活性を実際に有していることが報告され、上述のアミノ基を有するインダン誘導体をもとに低分子人工脱炭酸酵素の創製についても検討した。上記の考えに基づき、インダン環、あるいはテトラリン環にアミノアルキル基が1個あるいは2個置換したような分子を系統的に合成してオキザロ酢酸脱炭酸酵素活性を測定した。その結果、インダン骨格の1位にジフェニルメチル基、6位にアミノブチル基を導入したPM5がオキザロ酢酸の脱炭酸を促進し、しかも天然の酵素以上の脱炭酸活性を有していることを見いだした。その他、1位にアミノブチル基、6位にイソブチル基を導入した化合物もPM5に匹敵する脱炭酸酵素活性を有していることがわかった。一方、アミノアルキル基を二つ導入した誘導体では、脱炭素活性は極めて弱いが、二つのアミノ基間の距離が重要であるとの有用な知見を得ることが出来た。
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