1998 Fiscal Year Annual Research Report
異物排出輸送担体の細胞内局在化機構解明:cMOATとMRPの比較検討を中心として
Project/Area Number |
10877361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 将夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30251440)
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Keywords | MDCK細胞 / 細胞内ソーティング / MRP1 / MRP2 / ABCトランスポーター / 多剤耐性 / GS-Xポンプ / MBEC4細胞 |
Research Abstract |
多剤耐性腫瘍細胞膜上に発現されるmultidrug resistance associated protein(MRP1)は、グルタチオン抱合体のATP-依存的排出に関与する輸送担体であるが、スーパーファミリーを形成し、殆どすべての体細胞にも発現されている。MRPは個々の細胞の生命維持に必要なために発現されているが、例えば脳毛細血管内皮細胞では血液側にMRP1が発現されて化合物の血液から脳への移行が妨げられるのに対し、肝臓では胆管側にMRP2が発現されて化合物の血液から胆汁への移行が促進される等、生体防御に都合よい配備がなされている。本研究ではこの様な局在化を解明することを最終的な目的として検討を進めた。まず、クローン化したMRP2を極性を有するMDCK細胞(イヌ腎尿細管上皮細胞由来)に遺伝子導入し、安定発現株を作成した。高脂溶性のmonochlorobimaneを単層培養したMDCK細胞に負荷し、細胞内で生じるグルタチオン抱合体(glutathione-bimane(GS-B);蛍光物質)の放出について検討を加えた。ここでGS-BはMRP2の基質となる。その結果、MRP2導入によりGS-Bの排出はapical優位となり、この優位性はMRP2阻害剤cyclosporin A存在下で消失したことから、MRP2はMDCK細胞のapical側に発現されることが示された。また同様に極性を有する、脳毛細血管内皮細胞由来のMBEC4細胞において、分泌蛋白エリスロポエチンについて検討を加えたところ、糖鎖修飾を受けるアスパラギンをグルタミンに置換したところ、野生型ではapical分泌が観察されるのに対し、変異型ではapical/basal等方的に分泌されることが示された。一般に分泌蛋白と膜蛋白では同様なソーティングシグナルが関与する可能性が示唆されているため、糖頷修飾がMRPファミリーの局在性を決定する一つの因子となりうることが示唆された。
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[Publications] H.Suzuki: "Excretion of GSSG and glutathione conjugates mediated by MRP1 and cMOAT/MRP2." Semin.Liv.Dis.18. 359-376 (1998)
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[Publications] S.Kinoshita: "Transfected rat cMOAT is functionally expressed the apical membrane in Madin-Darby canine kidney(MDCK)cells." Pharm.Res.15. 1851-1856 (1998)
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[Publications] M.Honma: "High affinity efflux transport for glutathione conjugates on the luminal membrane of a mouse brain capillary endothelial cell line(MBEC4)." J.Pharmacol.Exp.Ther.288. 198-203 (1999)