1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体計測ESRによる炎症時におけるレドックス代謝活性の無侵襲画像解析
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10877368
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 英雄 九州大学, 薬学部, 教授 (20101694)
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Keywords | レドックス代謝 / 生体計測ESR / フリーラジカル / アジュバント関節炎 |
Research Abstract |
種々の疾患成因としてフリーラジカル生成やレドックス制御異常が提唱されているが、生物個体での実態は測定手法の欠如から全く研究されていない。そこで、本研究では生体内レドックス代謝活性を二トロキシドプローブのシグナル変化でとらえ、その変化量を画像化することで臓器・組織レベルでのレドックス代謝活性を無侵襲画像解析する手法を確立することを目的とした。 対象として、活性酸素・一酸化窒素等のフリーラジカルが産生し、レドックス代謝が変動することが示唆されている関節炎モデルを用いた。SDラットの右足蹠にMycobacteriumbutyricum溶液を皮内投与して関節炎を誘導した(AAラット)。ハラット関節部位での腫脹はアジュバント注射肢で3日目で最大となり、その後一定となった。一方、非注射肢は7日まで腫脹を示さず、その後徐々に増加した。陰性対照群では、わずかな腫脹が観察されたのみであった。この腫脹増加は抗炎症剤の経口投与により抑制された。 スピンプローブを尾静脈内投与後に関節部位で得られたESRシグナルのパラメータから、スピンプローブは関節部位では主に水溶液中に存在していることが確認された。そのシグナル強度をスピンプローブ投与後の経過時間に対し片対数プロットしてその傾きから消失速度定数を求めた。アジュバント投与14日目での非注射肢関節部位の消失速度は、陰性対照群に比べ有意に亢進した。このとき胸部・腹部での消失速度は、アジュバント投与群と陰性対照群で違いは認められず、スピンプローブ消失速度の亢進は関節局所で生じていることが示された。またこの亢進は抗炎症剤の経口投与により有意に抑制されたことから、炎症に関連する現象であることが示唆された。更に、キサンチンオキシダーゼ阻害剤の経口投与、及び・OHラジカル消去剤の同時投与でも消失速度の亢進は抑制され、シグナル消失の亢進にO_2^-、・OHが関与することが示唆された。今後さらに腫脹進展とフリーラジカル反応の関連性、画像解析によるラジカル反応惹起部位の解析等が必要と考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Sano,F.Umeda,T.Hashimoto,H.Nawada and H.Utsumi: "Oxidative Stress Measurement by in vivo Electron Spin Resonance Spectroscopy in Rats with Spreptozotocin-Induced Diabetes" Diabetologia. 41(11). 1355-1360 (1998)
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[Publications] T.Hamada,H.Komada,K.Takeshita,H.Utsumi,and K.Iba.: "Characterization of Transgenic Tabacco with an Increased α-Linoleic Acid Level" Plant Physiol.118. 591-598 (1998)
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[Publications] Utsumi,H.et al.: "In Vivo ESR Measurement of Free Radical Reactions in Living Mice" Biodefence Mechanisms against Environmental Stress. 13-22 (1998)
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[Publications] Utsumi,H.et al.: "Non-invasive measurement of free raaical reaction in disease using in vivo ESR-CT technique" Biophys.Med.Biol.(in press). (1999)
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[Publications] Takeshita,K.Hamada,A.and Utsumi,H.: "Mechanism related to reduction of radical in mouse lung using an L-band ESR spectrometer" Free Rad.Biol.Med.(in press). (1999)
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[Publications] Phumala,N.,Ide,T.and Utsumi,H.: "Non-invasive evaluation of in vivo free radical reactions catalyzed by iron using in vivo ESR spectroscopy" Free Rad.Biol.Med.(in press). (1999)