1998 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性腎障害におけるアポトーシス誘動と腎障害発現防御に関する研究
Project/Area Number |
10877389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 賢一 京都大学, 医学研究科, 教授 (70034030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 敏也 京都大学, 医学研究科, 助手 (10283615)
奥田 真弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (70252426)
橋本 征也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90228429)
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Keywords | 薬剤性腎障害 / シスプラチン / アポトーシス / ネクローシス / 細胞障害 / LLC-PIC_1 / DNA断片化 / 頂側膜酵素 |
Research Abstract |
アポトーシスによる細胞死は遺伝子によってプログラムされた自発的機構であり、個体の発生過程や恒常性維持における役割が明らかにされている。近年、種々の疾患や病態にアポトーシスの関与することが指摘されてきている。我々は既に、シスプラチンによる腎障害の発現にアボトーシスの関与することを示唆した。本研究では、腎障害性薬物の作用部位として重要な近位尿細管細胞のモデル系であるブタ腎由来培養上皮細胞LLC-PK_1を用い、薬剤性腎障害におけるアポトーシス誘導と腎障害発現防御に関する検討を行った。 1. アミノグリコシド系抗生物質及び免疫抑制剤シクロスポリンAで処理したLLC-PK_1細胞におけるアポトーシス誘導:コンフルエントに達したLLC-PK_1細胞を種々の濃度のゲンタマイシン及びシクロスポリンAで処理したところ、断片化DNAによるラダーの形成が認められた。同様の条件で処理したLLC-PK_1細胞の核クロマチンを、DNA特異的に結合する蛍光色素を用いて観察したところ、アポトーシスに特徴的なクロマチンの凝集が認められたことから、ゲンタマイシン及びシクロスボリンによってアボトーシスの誘導されていることが明らかになった。同条件下で培養を継続したところ、培養液中へのLDH遊離、及び細胞ホモジネート中の頂側膜酵素活性の低下が認められたが、シスプラチンの場合とは異なり細胞タンパク量の減少は認められなかった。 2. 腎障害発現防御に関する検討:還元型グルタチオンはインビボ動物実験において、シスプラチンの腎障害を軽減することが報告されている。そこで、LLC-PK_1細胞をシスプラチンとグルタチオンで同時処理したところ、細胞障害の発現及びアポトーシス誘導は共に抑制されることが明らかになった。
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[Publications] M.Okuda: "Protective effect of ulinastatin on cisplatin-induced toxicity in the kidney epithelial cell line,LLC-PK1." Toxicol.Methods. 9・1. 1-10 (1999)
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[Publications] T.Nakamura: "Effects of fosfomycin and imipenem/cilastatin on nephrotoxicity and renal excretion of vancomycin in rats." Pharm.Res.15・5. 734-738 (1998)
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[Publications] K.Takami: "Distinct characteristics of transcellular transport between nicotine and tetraethylammonium in LLC-PK1 cells." J.Pharmacol.Exp.Ther.286・2. 676-680 (1998)
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[Publications] J.Nagai: "Efflux of intracellular α-ketoglutarate via p-aminohippurate/dicarboxylate exchange in OK kidney epithelial cells." J.Pharmacol.Exp.Ther.285・2. 422-427 (1998)