1999 Fiscal Year Annual Research Report
看護研究におけるコンピュータ支援による質的データ分析の可能性と限界
Project/Area Number |
10877405
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
竹村 華織 北里大学, 看護学部, 助手 (80265727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 恵美子 北里大学, 看護学部, 教授 (50185154)
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Keywords | 質的研究 / コンピュータ / 看護研究 / データ分析 / Ethnograph |
Research Abstract |
平成11年度の研究目標は、看護領域における既存の質的データに対し、分析支援プログラムを実際に使用して分析を行い、それぞれのソフトウエアなどの特徴・可能性・限界を明らかにすることであった。実施した内容および研究結果は以下のようである。 1.研究計画書を作成した。 2.研究計画書に沿い、既存の小規模なインタビューをローマ字に入力し直したデータを英語環境でのみ動作するプログラム(Ethnograph^<TM>)に投入しパイロットスタディを行った。 3.パイロットスタディの結果において、Ethnograph^<TM>の持つ機能はJorgensen(1989)の示す質的データ分析のプロセスであるNoticing(データ作成・コーディング)、Collecting(コード語のソート・シフト)、Thinking(データの持つパターンや関係性を見出し、一般化すること)のうち、Noticing、Collectingを包含するものであったが、Thinkingについてはその機能を持っていないことが確認された。このThinkingに関しては操作者自身の思考を全面的に必要とするものであり、Ethnograph^<TM>では支援を得にくい分析プロセスであった。 また、Noticingにおけるコーディングでは、line by line analysisのようにデータを逐語コーディングする方法をとると、操作画面上の表示テキスト範囲の限界、およびローマ字表示による操作者の文字認識性低下からデータの持つ文脈が失われやすく、Ethnograph^<TM>のみでのコーディングではデータの全体性を見失う可能性が指摘された。 しかし、Ethnograph^<TM>のもつ、生データを各行毎にナンバリングしデータを管理する機能、コード語のソート・シフトに関しては、分析過程に於いて力強い支援を得られることが示唆された。
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