1998 Fiscal Year Annual Research Report
クリーンルーム消毒後の残留ホルムアルデヒド濃度と小児骨髄移植患者入室時期の再考
Project/Area Number |
10877411
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 太一 名古屋大学, 医学部, 助手 (20273203)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 彩子 名古屋大学, 医学部, 教授 (70135375)
|
Keywords | ホルムアルデヒド / クリーンルーム / 骨髄移植 |
Research Abstract |
【目的】骨髄移植患児のホルムアルデヒド曝露を考えるため,クリーンルームをホルムアルデヒド消毒した場合,消毒後の経日的な残留ホルムアルデヒド濃度の変化を測定する。その際,アイソレーターに使用されているヘパフィルターが室内濃度の減衰に及ぼす影響を知る。【方法】名古屋大学医学部附属病院小児科病棟のクリーンルームにおいて,ホルムアルデヒド消毒前と消毒後に経日的な室内ホルムアルデヒド濃度を測定した。病棟では,消毒後24時間で,アンモニア水を室内に24時間放置する中和をおこなっている。測定は,光明理化学工業製のホルムアルデヒド710型検知管とエアーサンプラーS-20Bを使用して連続吸引法でおこなった。同時に柴田科学機器工業製のパッシブガスチューブを用い,24時間曝露による室内濃度測定もおこない,AHMT法(吸光光度法)により定量し,検知管の測定値と比較した。測定は,患者入室予定のないモデルクリーンルームを使用して15日間で2回おこなった。さらに実際に移植をおこなったクリーンルームでは長期の濃度変化をみた。【結果】ホルムアルデヒド710型検知管は,AHMT法に比較して1.5〜2倍高濃度に表示され,測定限界である1.2ppmを越えてしまい測定不能になる場合が多かった。モデルクリーンルームでのAHMT法の結果は,アイソレーター吸入口部で,1回目が中和終了当日で697ppbとなり,3日目では443ppbであった。2回目は,それぞれ1035ppbと545ppbになり,1回目より高かった。ベッド上の吹出し口付近(水平送流)では吸入口の84%程度の濃度で3日目には99%と差がなくなった。長期の測定では中和後3週目でも200ppbあり,6週から9週目で100ppb以下になった。【考察】生体防御機構が抑制されている移植患児は,非常に高濃度のホルムアルデヒドに曝露されているため,気道刺激などによってより感染しやすい状況にあると考えられる。その他に室内に持ち込まれるホルムアルデヒド消毒した物品からの放出も考慮する必要がある。
|
Research Products
(2 results)