1998 Fiscal Year Annual Research Report
小児肝移植における免疫寛容の誘導と抑制蛋白の臓器移植への応用に関する研究
Project/Area Number |
10877417
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 達也 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00285222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真辺 忠夫 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (80127141)
国松 己歳 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (70145746)
橋本 俊 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (10094393)
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Keywords | 肝移植 / 免疫寛容 / 免疫抑制蛋白 / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
通常移植においては免疫抑制剤の使用なくしては移植片は拒絶される.ところが、肝移植時には免疫寛容が成立することが、実検的・臨床的に知られている.ラット肝移植において、肝移植後60日目の血清中に含まれる40Kdほか3種類の蛋白に強力な免疫抑制作用のあることがKamadaらにより報告されている.本研究は,この免疫寛容成立の要因を移植後recipient血清中に見い出された新しい免疫抑制蛋白に求め、この免疫抑制蛋白の構造・機能を解明することにより免疫寛容のメカニズムを探るとともに、分子生物学手法を用い合成し免疫抑制剤としての臨床応用までを目的としている.我々は、すでにこのKamadaらが発表した免疫抑制蛋白のN-terminalの構造を基に,ペプチド合成器により4種類のべプチドを合成し家兎に免疫して抗体の生成に成功し、4種類の蛋白に対するELISA系を確立している. 本年度は,このpolyclonar抗体を用い,自施設で定期的に施行している臨床生体肝移植症例における患者血清を経時的にサンプリングし、3例でELISA系を用いて蛋白の存在を検証したが,今のところ免疫抑制蛋白は見い出されていない. また,抗体カラムを作成し肝移植術後に完全に免疫抑剤から離脱している症例の血清をカラムに通し,免疫抑制蛋白の分取を試みたが検出されなかった. 同時に,Kamadaらが報告した免疫寛容が成立する組み合わせのラット肝移植前,移植後1日,7日,14日,30日,60日の血清をSDS-pageにてかけ,免疫抑制蛋白の分離精製に取り組んでおり,免疫抑制蛋白が単離されれば,その全構造を決定すべく準備を進めている.
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