1999 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者の生活の質に及ぼす運動の効果―心臓自律神経活動の夜間ウルトラディアンリズムによる検討―
Project/Area Number |
10878003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 光生 筑波大学, 体育科学系, 教授 (20110702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 邦夫 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (30215488)
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Keywords | 知的障害者 / QOL / 心臓自律神経活動 / 心拍変動解析 / 夜間ウルトラディアンリズム |
Research Abstract |
本研究の目的は,1)知的障害者における生活リズムやQOLと心臓自律神経活動の夜間ウルトラディアンリズムとの関連を検討すること,及び2)運動が心臓自律神経活動の夜間ウルトラディアンリズムに及ぼす効果を検討することである. 1.健常者(10名)において,トレーニング前後(水中運動:週2回,8週間)における心臓自律神経活動(心拍変動解析:Mem-Calc)の夜間ウルトラディアンリズムとQOL(記名自記式質問法:WHO/QOL-短縮版)の変化を検討した.トレーニング後にQOL尺度は有意に増加した.夜間副交感神経活動(心拍変動の高周波成分)と心拍数に明確なウルトラディアンリズムが認められた者の割合は,トレーニング後に有意に増加した.しかし,今回の対象者では,QOLと夜間自律神経活動のウルトラディアンリズムの間に,一定の関係はみとめられなかった. 2.知的障害を持つ人の夜間心拍数変動に関する調査は,これまで,自閉症患児を対象とした数編の研究はあるものの,運動との相関を観点とした研究は未だ行われていない.千葉県の知的障害者授産施設在籍者(8名)を対象に,運動が睡眠時心拍に与える影響を調査した.通常週2回の運動時間を設けている被験者に対し,2週間の運動なしの期間を設け,その後に測定した睡眠時心拍数と,通常の運動時間の設定されている生活サイクルにおいて測定した睡眠時心拍数を比較検討したところ,全員に有意に心拍数の低下が認められた.また,最高・最低心拍数の低下,15拍以上の急上昇の訪れ,入眠時間の到来と思われる心拍数定常状態時間の早期出現などの変化が認められた. 今回の検討では,知的障害者における夜間自律神経活動のウルトラディアンリズムを検討するまでには至らなかった.今後の課題として,知的障害者における検討を充実することに加えて,健常者の検討数を増やすことも必要である.
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