1998 Fiscal Year Annual Research Report
国土の縁辺的位置における異文化接触を介して生じたマイノリティーの生活空間について
Project/Area Number |
10878010
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 守人 熊本大学, 文学部, 教授 (30015581)
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Keywords | 沖縄 / 石垣 / 縁辺的位置 / 移民 / マイノリティー / 異文化接触 / 生活空間 / 生活様式 |
Research Abstract |
その地理的位置が,古来より,周辺・隣接地域からの,あるいは同地域へのヒト・文化の移入・移出を促してきたことは容易に推測できることであり,その実態も言語・民俗・社会・歴史・経済・地理ほか種々の学問分野で追求・把握されてきているところである。本研究において対象にしているマイノリティーの生活空間は,沖縄史の時代区分でいう「近現代」のもので,とくに「台湾領有」から「沖縄返還」までの状況の中で形成されたものを指している。初年度である今年度は,琉球圏域のジェネラル・サヴェーの後,同域内でも「移民の島」として認識されている石垣島を研究対象地域に選択し,同島における「移民によって創設された集落の幾つか(4箇・蒿田・於茂登・平野・伊野田)を,公団ならびに土地台帳にもりこまれている情報を手掛りにして調査・解析中である。この過程で明らかになりつつあることは,マイノリティーの生活空間の3様性である。その1つは,これまでも指摘され,次第にその実態が明らかになりつつある「台湾系住民の定着」によるものであり,残りの2つはともに「日本系住民の定着」によるものである。後者のうちの1つはいわゆる沖縄島からの計画移民によるものであり,もう1つは,主として九州・沖縄からの自由移民によるものである。なお,生活様式を詳びらかにし,その定式化を試みるまでの段階に調査自体は進展していないが,各集落での概括的な観察でもこれらの生活空間には,在来伝統的な集落,いわゆる古村(薩摩侵攻以前に創設された集落)のもの,さらに開拓新村(同侵攻から台湾領有前までに創設された集落)のものと比べて,明らかに差異が認められる。同時に,これらの差異を弱める役割を演じているものに政府や地方公共団体の移民い対する諸施策があることも判明した。この点については研究協力者(上村秋生、中川芳昭、森枝敏郎、慶田収)とそれぞれ連名で,その系統的予備学修の成果を先ず以って熊本大学総合科目研究報告(大数センター紀要)第2号で公刊した。2年目に入る平成11年度は,解釈に不可欠な生活様式等の把握とその定式化に全力を注ぐ予定。
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[Publications] 上村秋生: "「地域計画」にみる国と地方公共団体との関連" 熊本大学総合科目研究報告. 2. 27-31 (1999)
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[Publications] 中川芳昭: "地方公共団体における総合計画の今日的意義" 熊本大学総合科目研究報告. 2. 33-45 (1999)
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[Publications] 森枝敏郎: "地域づくり再考" 熊本大学総合科目研究報告. 2. 47-65 (1999)
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[Publications] 慶田収: "社会資本整備と住民のニーズ" 熊本大学総合科目研究報告. 2. 67-81 (1999)