1999 Fiscal Year Annual Research Report
レス・古土壌分析によるチベット高原の隆起とアジアモンスーンの関係の解明
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10878011
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
福澤 仁之 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80208933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 修二 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60117695)
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Keywords | レス・古土壌 / チベット高原 / アジアモンスーン / 降水量変動 / 風成塵変動 / ヤンガードリアス / ハインリッヒイベント / ヒマラヤ・チベット山塊 |
Research Abstract |
本年度は,中国西部における研究,チベット高原の東北部の蘭州付近においてレス・古土壌の高精度解析をおこなった.その結果を,同じ地域で並行してすでに調査されている湖成堆積物,氷河地形・河川地形とそれらの堆積物などの調査結果データと対比し,モンスーン変動の動態(とくに降水量変動),および,それとヒマラヤ・チベット山塊の隆起との関係をも解明した.とくに,レスの堆積が盛んな寒冷期に着目し,最終氷期から完新世にかけての寒冷化・乾燥化の程度の比較した 以下に結果を示す. ヒマラヤ/チベット高原以東のいくつかの東アジアの湖沼・レス堆積物についてみると,北緯35〜45度以北ではヤンガードリアスやハインリッヒイベントなどの現象が認められるが,完新世のヒプシサーマル期は明瞭ではない.これに対して,北緯35〜45度以南では逆に前者は明瞭ではなく後者が明瞭に現われる.しかも,偏西風によって日本列島に降下した風成塵変動から,ベーリング期におけるチベット山塊周辺の温暖湿潤化(植生の前進)はグリーンランド氷床コアにおける温暖化に先行している可能性がある. このチベット高原周辺の乾湿変動を引き起こしたものはモンスーン変動であり,チベット高原以東の気候変動が大気変動に由来し,かつ北大西洋を発現地とする変動に先行する可能性がある.これは,ヒマラヤ/チベット山塊の間欠的な隆起上昇がグローバルな環境変動のトリガーである可能性を暗示する.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fukusawa,H.: "Varved lacustrine sediments in Japan"the Quaterrary Research (第四紀研究). 38巻3号. 223-229 (1999)
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[Publications] Pang,X-M.,Ono,Y.,Fukusawa,H.Pan,B-T.,Li,J-J.,Guam,D-H.,Oi.K.,Tsukamoto,S.Torii,M.Mishima,T.: "Asian summer monsoon instability during the past 60,000 years:magnetic susceptibility and pedogenic evidence from the western Chinese Loess plateau"Earth and Planetary Science Letter. 168. 219-232 (1999)
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[Publications] 福沢 仁之: "湖沼・レス堆積物に認められる縞状構造と地球環境変動"可視化情報学会誌. 18巻1号. 15-18 (1998)
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[Publications] 福沢 仁之: "湖沼・内湾・レス堆積物を用いた東アジアにおける気候変動の高精度復元と人類史の関係"気象研究ノート. 35. 59-72 (1998)
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[Publications] 福沢仁之,山田和芳: "堆積物による過去75,000年間のアジアモンスーン変動の高精度復元"地学雑誌. 107巻4号. 566-571 (1998)
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[Publications] 加藤めぐみ,福沢仁之,安田喜憲,藤原治: "鳥取県東郷池湖底堆積物の層序と年縞"汽水域研究. 5. 27-37 (1998)