1998 Fiscal Year Annual Research Report
高気密・高断熱の住宅に適合し、生理的・心理的に快適な空間を作成する障子の考案
Project/Area Number |
10878012
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 務 神戸大学, 発達科学部, 教授 (30093173)
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Keywords | 高気密・高断熱 / 快適空間 / 障子 / 断熱効果 / 官能検査 / 桟 / 遮音効果 / 風速 |
Research Abstract |
本研究の目的は,障子を使用することにより,(1)高気密・高断熱の空間でも,心理的に快適感を生み出す方法を明確にすること,(2)断熱性に優れた障子とは,どのような構造にすればよいのかを検討すること,(3)桟の前後に障子紙を貼り,空間を作成する利点を積極的に利用し,心理的な効用とともに生理的な効用についても明確にすることである。 1 実験計画では,まず,簡単な小型の障子モデルとモデル住宅を作製することであった。そこで,縦と横の寸法を一定とし,桟の奥行きの寸法が異なる5種類の障子の桟モデルと,高気密・高断熱住宅のモデルと在来工法住宅のモデルとして2種類の測定箱を作製した。なお障子紙は,パルプの含有率の異なるものなど10種類用意した。 2 次に,本研究の最重要課題である断熱効果の実験を行った。使用した装置は,本年度購入の多点式風速計システム(温度・湿度・風速が測定可能)である。それより,(1)桟の前後に紙を貼ると断熱効果が増すこと,しかし,(2)桟の奥行きが大きいほど効果があるとは限らないこと,(3)高気密・高断熱のモデル箱と在来工法のモデル箱とでは,すきま風により,熱の伝わり方が異なることなどを明確にした。 3 障子が心理的にどのような効果を生み出すのかを検討するため,簡単なコンピュータ・グラフィックによる官能検査を行ってみたが,実際の障子でないためか,明確な傾向は得られなかった。ただ,桟の前後に紙を厚く貼ることを想定した桟の見えないモデルでは,障子の良さが失われることも明確となった。 4 桟の前後に障子紙を貼ると,どのような遮音効果が生じるのかを調べた実験では,音量・音の種類により種々の傾向が得られ,統一見解を出すにはいたっていない。これに関しては,来年度の分析で明確にする予定である。
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