1998 Fiscal Year Annual Research Report
教育実習生の教授活動を支える「信念」に関する比較文化的研究
Project/Area Number |
10878034
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
藤井 斉亮 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (60199289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 哲夫 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (30145106)
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Keywords | 教師の信念 / 数学的理解 |
Research Abstract |
本研究は、教師の教授活動を支える教師の信念(Teacher's Belief)を比較文化的視点から対象化・相対化してとらえることを目的としている。本研究では教師の信念を「理想信念」と「実践信念」とに区別し、その国の文化的背景が特に「理想信念」に反映されると考える。 本年年度の成果は以下の通りである。 (1) 教師の信念を「理想信念」と「実践信念」を視点としてとらえる理論的枠組みをR.R.Skempの理解モデルに基づいて構築した。すなわち、用具的理解と関係的理解を視点として、教師の信念をとらえる枠組みを構築した。 (2) (1)の考察を踏まえて、教師の信念とその教授活動への反映をとらえる実態調査研究の枠組みを検討し、授業開始前と後に教育実習生(3名)にインタビュー調査を実施した。 (3) インタビュー調査の結果、以下の諸点が判明した。 (1) 授業開始前では関係的理解を指導目標とするが、実際に授業が始まると用具的理解に留まる傾向が見られた。しかも、教師自身、当初の目標と実態とのズレを意識しており、授業に対する反省と後悔が見出せた。 (2) 実際の授業で用具的理解として特定される発問や指導をしてしまう背景には、定期試験への対応や関係的理解を深める具体的な発問の内容と形式が十分に事前に明らかにさていないことが判明した。 来年度は、米国の調査対象者を特定して予備調査から本調査へと展開し、「理想信念」を関係的理解に実践信念」を用具的理解へと対応つける本研究の着想の妥当性をより一層追求していく。
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