2000 Fiscal Year Annual Research Report
消費者教育としての学校音楽教育に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
10878039
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
吉田 孝 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (90158452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝 充 国立教育政策研究所, 生徒指導研究センター, 総括研究官 (50163340)
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Keywords | 音楽教育 / 音楽科教育 / 消費者教育 / 学校音楽教育 / 専門教育 / アンケート / 教科構成 / 教科の存在意義 |
Research Abstract |
本研究の目的は我が国の戦後の学校音楽教育が音楽の消費者を育てるという側面からどのような役割を果たしてきたかを明らかにすることにある。本年度は、前年度までの一般調査(一般、学生)、アマチュア音楽活動者、音楽大学生向け調査に加え、音楽の専門家向けアンケート調査、聞き取り調査等を行った。研究方法は次の通り。 1)音楽教育年鑑(音楽之友社・2000年版)に掲載された音楽家300人を無作為抽出し郵送にてアンケート調査を行なった(回収率・47パーセント)。なお一部の音楽家には訪問、電話等での聞き取り調査を行った。 2)質問項目は、対象者が受けた学校音楽教育や現在の学校音楽教育について選択肢または自由記述で回答してもらった。 その結果、学校の音2楽教育に対して次のような意識を持っていることが明らかになった。 1)専門家になるにあたって学校の音楽教育は何らかの形できっかけになっている。 2)ただし、音楽家になるのためにもっとも大きな影響を及ぼしたのは、ほとんどが学校外の音楽活動である。 3)全体としては学校における音楽教育を肯定的に捉えているし、学校音楽教育は必要だと感じている。 4)しかし、学校音楽教育の内容や方法に関しては、専門家として多くの問題を感じている。 全体を通して言えば、専門家、アマチュアを問わず、成人になってになっても音楽活動を続けている人は、学校音楽教育に対して肯定的に受け止めており、学校教育と専門教育との対立、学校音楽とアマチュア音楽活動の対立という傾向は見られなかった。ただ、一部の専門家の中に学校教育に対する根強い不信感が見られた。ただし、そのような音楽家も改善のための建設的な提言を寄せており、学校教育の今後への期待の表れと考えられる。
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