1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的アルゴリズムを用いる適応型命令スケジューリングの研究
Project/Area Number |
10878046
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
梅谷 征雄 静岡大学, 情報学部, 教授 (40293592)
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Keywords | 命令スケジューリング / 遺伝的アルゴリズム / コンパイラ / リバモアカーネル / SPARC / プロセッサ |
Research Abstract |
遺伝的命令スケジューラの効果を実機上で検証するために、個体命令列の評価をシミュレータ上のサイクル数ではなく実機上の実行時間を計測することにより行うようスケジューラプロブラムを改造した。検証にあたっては、評価用のベンチマークジョブとしては米国 Livermore研究所が制定した24個の科学技術計算カーネルループ(通称リバモアカーネル:LFK)を取りあげ、実機として性能の異なる3種類のSPARC チップであるUltra2(300MHz)、Ultra1(143MHz)、Sparc(100MHz)を使ったワークステーションを対象とした。最適化機能を持つGNU-Cコンパイラの生成する命令列を出発点として、より良い性能を示す命令の並び順を遺伝的アルゴリズムにより探索した。 その結果、10世代の探索の後Ultra2とUltra1においては、出発点の実行時間を100とするとき、それをカーネルにより74.2から99.6(平均90.0)、74.1から99.9(平均89.9)に短縮する効果を得た一方、Sparcにおいては92.1から、105.3(平均99.0)と余り効果が見られなかった。またUltra2とUltra1ではカーネル毎の相対実行時間も似た傾向を示した。これからUltra2/1とSparcではプロセッサの特性に差があり、GNU-Cコンパイラの命令スケジューリング機能はSparcに対しては適切であるがUltra2/1に対しては改善の余地があることが明らかになった。また遺伝的スケジューラの発見した最良命令列を解析することによりUltra2/1に向けたスケジューリング方式の改良指針が得られ、これは現在GNU-Cコンパイラに組み込むべく準備中である。 今後の課題としては、コンパイラへの組み込みの他PentiumIIなど他のプロセッサ系列や並列プロセッサにおける効果の検証が挙げられ、次年度以降に取り組む予定である。
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Research Products
(1 results)