Research Abstract |
本研究は,ドライバー・歩行者の誤判断特性を把握するための動画像を用いた実験手法を開発するとともに誤判断と交通事故危険度との関係性を明らかにすることを目的として遂行中であり,平成10年度に実施した研究内容を示せば以下のとおりである. (1) 実験用VTR映像の作成 山口県総合交通センターのテストトラックで大型車(バス),乗用車,バイクの3車種を用いて30,35,40,45,50,60km/hの各速度での走行映像を横断歩行者,右折ドライバーの各視点に設置したビデオカメラで撮影した.これらの映像を編集(一部は倍速度編集)することにより30,40,50,60,70,80,l00km/hの各速度をランダムに配列した実験用映像を作成した.なお,実験用映像は車両が完全に通過するまでを示す実験映像1と,横断,右折限界地点で映像をカットした実験映像IIの2種類を作成した. (2) 予備実験の実施 対象車種と速度判断特性の関係を把握するために,学生98人を対象に実験映像Iを大型スクリーンに投影して速度判断実験を行った.その結果,車両速度が高くなるほど負の速度誤認量が大きくなること,また車両サイズが大きくなるほど速度の誤判断量が小さくなることなどが確認された.さらに,年齢による違いを把握するために,学生25人,高齢者82人(82〜84歳),交通機動隊白バイ隊員7人を対象として,実験映像I,II(対象車種:普通車,視点:横断歩行者)を用いた実験を行った.その結果,属性による誤判断特性の違いがある程度把握できた. 今回の予備実験により基本的な速度判断特性が把握でき,実験映像の配列や提示方法の改善方向も明らかになったので,次年度はさらに信頼性の高い結果が得られるように実験方法を改善していきたい.
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