1998 Fiscal Year Annual Research Report
半導体中の正孔-アクセプタの励起を用いた極低温放射線検出器の基礎研究
Project/Area Number |
10878077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神野 郁夫 京都大学, 工学研究科, 講師 (50234167)
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Keywords | 放射線検出器 / 半導体 / 低温 / 高エネルギー分解能 / 正孔 / 放射線 / シリコン / アクセプタ |
Research Abstract |
アクセプタに正孔を捕獲させておき,放射線のエネルギー付与により正孔を解放し検出する本検出器を動作させるためには,シリコン内部のホウ素に正孔を供給する必要がある.このため,従来のシリコン表面障壁型半導体検出器と同様のショットキー障壁と抵抗性電極を持つ素子をp型シリコンで製作した.この素子にバイアス電圧を掛け,空乏層が形成された場合の非空乏層領域における正孔濃度の増加を確認することを本年度の研究目標とした. まず,直径7mm,厚さ0.5mmのp型シリコンをエッチングにより凸形状に加工した.突出部の平面に抵抗性電極を,その裏面の大きな円盤の中央部にショットキー障壁を製作した.また,突出部の一段下のドーナッツ状平面にvan der Pauw法による抵抗測定のための電極を4つ製作した. この素子の電流-電圧(I-V)特性,電気容量-電圧(C-V)特性を測定し,I-V測定により空乏層が形成されていることを確認し,C-V測定から素子の比抵抗値を求めた.さらに,Am-241のα線を入射し,その測定スペクトルからこの素子が従来の表面障壁型検出器として優良であることを確認した. 次に,バイアス電圧を変化させながら,van der Pauw法により非空乏層領域の比抵抗値の測定を行なった.その結果,バイアス電圧が高くなり空乏層領域が厚くなるに従って,非空乏層領域に正孔が押しやられ正孔濃度が空乏層の厚さに比例して高くなることが確認でき,当初の目的を果たした. 現在,加速器によりホウ素を添加したp型シリコンを接着して高ホウ素濃度部を厚さの中央部とした素子を製作し,非空乏層領域のホウ素濃度がより高くなるか否かを確認する実験を行なっている.
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