1998 Fiscal Year Annual Research Report
放射線高感受性トランスジェニックマウスを用いた鋭敏な突然変異検出系の開発
Project/Area Number |
10878083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津山 彰 広島大学, 産業医科大学・医学部, 助教授 (10194218)
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Keywords | 放射線 / scidマウス / トランスジェニックスマウス / 体細胞突然変異 / rpsL遺伝子 / HITECマウス / 受精卵移植 / 自然交配 |
Research Abstract |
重症複合免疫不全症(scid)マウスは,電離放射線(以下、放射線と記す。)に対して高い感受性を示すが,最近の研究により,DNA損傷修復欠損がその原因であることが明かとなった。一方,我が国で開発されたHITECマウスは突然変異モニター遺伝子rpsLを有し,各臓器から回収したシャトルプラスミドを宿主大腸菌に導入することにより容易に体細胞突然変異が検出できるトランスジェニックマウスである。そこで本研究では,放射線高感受性の突然変異検出系を開発するため,両マウスを交配することによりscidマウスにrpsL遺伝子を組み込んだ新規のトランスジェニックマウス(HITEC/scidマウス)の樹立を計画した。 まず,受精卵移植により直接scid-HITECマウスの作成を試みたが,出産数が少なく,しかもその後の成長も悪く健常な個体を得ることができなかった。そこで,両者を自然交配することによりscid-HITEC(F1)マウスの作成を行うことにした。グループに分けて交配したが、そのうち一つのグループで雄5匹と雌4匹が得られ,PCRでモニター遺伝子の存在を調べたところ,それぞれ2匹がHITEC由来であることがわかった。現在,これらのF1マウスをさらに交配することにより,HITEC/scidマウスの樹立を試みているところである。 一方,トランスジェニックマウスを用いた体細胞突然変異解析と並行して,細胞レベルでも放射線による突然変異誘発動態を調べるため,HITECマウス胎児より細胞を分離した。長期間培養するとrpsL遺伝子が欠損する傾向が見られたが,分離直後の細胞は増殖能が活発であり突然変異モニター遺伝子も保持していることから,胎児由来初代培養細胞を用いたrpsL遺伝子に対する突然変異の検出が可能となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鈴木文男: "放射線誘発アポトーシスの多様性" 広島医学. 51巻3号. 284-286 (1998)
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[Publications] Noriyoshi Hashimoto: "Gene-dose effect on carnitine transport activity in embryonic fibroblasts of JVS mice as model of human carnitine transporter deficiency." Biochemical Pharmaclology. 55巻. 1729-1732 (1998)
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[Publications] Zhen-Bo Han: "Relative biological effectiveness of accelerated heavy ions for induction of morphological transformation in Syrian hamster embryo cells." Journal of Radiation Research. 39巻3号. 193-201 (1998)