1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10878085
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
深見 元弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50114624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 善作 宇都宮大学, 農学部, 教授 (30091383)
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Keywords | 本門寺苔 / 細胞壁 / 銅 |
Research Abstract |
1) 栃木県及び近県の本門寺苔の分布調査 日本における本門寺苔の分布は岩手県中尊寺を北限とし、47箇所報告されている。栃木県内では日光および足尾にその存在が確認されているが、今回の調査で、益子町、湯津上村、矢板市に新たな生息地を発見した。 2) 本門寺苔の銅蓄積量に影響する環境要因 本門寺苔の分布は環境中の銅濃度と関係があるとされている一方、本門寺苔の生息分布や銅蓄積量と環境中の銅濃度分布との関係を評価した報告例はない。 2-1) 栃木県大平山神社の事例 一区画15cm×15cmのコドラート法により、本門寺苔および他の植物の生息分布を調査し、生息域の表層土壌を採取した。土壌中の銅濃度は、銅屋根直下の雨の落下する地点から遠ざかるに連れて低下し、土壌pHは遠ざかるに連れて上昇した。本門寺苔は、0.1N塩酸抽出土壌中銅濃度が約200〜1200μg/gと高く、土壌pHの低い区画に生育していた。本門寺苔中の銅濃度は0.5〜1.3%で、0.1N塩酸抽出土壌中銅濃度との関連性が見い出された。 2-2) 栃木県内本門寺苔コロニーに注ぐ雨水中の銅濃度と本門寺苔の銅蓄積量 本門寺苔は銅屋根や銅像など銅製品の直下に生息しており、銅製品を伝った雨が降り注いでいる。これらの雨水中の銅濃度は1〜7μg/mlで、本門寺苔中の銅濃度は乾重当たり0.7〜1.2%であった。濃縮率は200〜2000倍であり、雨水中の銅濃度と苔中の銅濃度に正比例の関係は見い出せなかった。 3) 本門寺苔栽培法の検討 寒天培地および液体培地に本門寺苔を移植し、MS培地を基本として改変を加え培地組成等の条件を検討したが、個体増殖速度を早める方法は現在見つかっていない。
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