1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10878101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
矢澤 道生 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (50101134)
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Keywords | 1型プロティンホスファターゼ / プロティンホスファターゼ阻害タンパク / CPI17 / 血管平滑筋 / 筋収縮 / 筋収縮の調節 / タンパク質のリン酸化 / ミオシン |
Research Abstract |
細胞内のシグナル伝達においてセリン・スレオニン残基のリン酸化は、重要な位置を占める。我々は、タンパク質のリン酸化量の調節にプロテインホスファターゼを制御するシステムが存在することを予測し、大動脈平滑筋から内在性の1型プロテインホスファターゼ(PPl)阻害タンパク質CPI17を単離し、この阻害活性がプロテインキナーゼC(PKC)とそのホモログによるリン酸化により活性化されることを示した。平成10年度は、平滑筋収縮におけるCPI17の生理的役割を検討するために、CPI17を固定化したアフィニティクロマトグラフィを用いて血管平滑筋内のCPI17の標的PPlを検索し、その結果、数種のCPI17感受性PPl活性の検出に成功した(Senba et al.,J.Biochem.,1999)。このうちの最も活性の高い成分を単離し、3量体のミオシンホスファターゼ(PP1M)であることを明らかにした。血管平滑筋には、PKC(またはそのホモログ)/CPI17/PP1Mを介したミオシンリン酸化制御システムによる収縮調節機構が機能していることが明らかになった。 一方、遺伝子工学的手法を用いてCPI17の構造を改変し、より強力で選択性の高いPP1特異的阻害剤の開発をめざした。Thr38をGluに置換して、常に活性のある阻害剤を発現する企ては思い通りには進展しなかった。Thr38Glu変異体は、阻害活性をもたず、リン酸化による負電荷の導入のみが、阻害活性を誘起するわけではないことが明らかになった。リン酸基の空間的配置とタンパク質全体のコンフオメーションを考慮した阻害剤の開発を継続中である。
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Research Products
(1 results)