1998 Fiscal Year Annual Research Report
次世代大型放射光SPring-8での超分子タンパク質結晶学研究の確立
Project/Area Number |
10878111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 邦夫 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (10116105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北所 健悟 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (60283587)
喜田 昭子 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (70273430)
樋口 芳樹 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90183574)
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Keywords | 次世代大型放射光 / SPring-8 / タンパク質結晶解析 / BL41XUビームライン / 超分子タンパク質 / 極低温結晶凍結 |
Research Abstract |
次世代の大型放射光施設SPring-8で得られる超高輝度高エネルギーX線の特性は,従来の放射光施設の10^5〜10^6倍にも及ぶ.この極めて明るい光源の出現は,タンパク質結晶学の研究に,これまで以上の画期的な進展をもたらすことが期待されている.本研究は,SPring-8を利用したタンパク質,とくに超分子タンパク質複合体の結晶からの回折強度測定を実際に行い,上記の問題点を十分に考慮して従来の放射光を利用したデータと比較検討して,その有効性を検証し,より有効的な利用法を確立することが目的である.本施設で最初に建設されたタンパク質結晶解析共用ビームライン(BLAXU)において,夕ンパク質結晶の回折強度測定ならびにその構造解析に対する高エネルギーX線の利用に固有な問題を検討し,特に超分子構造を有するタンパク質複合体について,その有効な利用を確立するため,主として,好熱性光合成細菌Chromatium,tepidumの反応中心複合体(4サブユニット,分子量約15万)を対象としてビームラインの性能ならびに超分子夕ンパク質結晶学への利用の有効性の評価を行った.1)高エネルギーx線によるタンパク質結晶の急激な劣化・損傷の防止については.,極低温結晶凍結法による実験が有効であることが分かったが,その凍結条件によっては元来の分解能を.低下させることもあり,より詳細な凍結条件の検討が必要であった.2)測定時間の大幅な短縮に基づく二次元回折計の特性向上については、CCD検出器などの検討を行う予定であったが,ビームラインでのCCD検出器の整備に時間を要したため実行できなかった.3)タンパク質結晶回折データの精度比較については,従来のフォトンファクトリーでの測定と比べてデータの向上が見られた.フォトンファクトリーでは20-2.5人 (カツコ内は・256-2.50Å)の反射に対して,Completenessが73.1%(41.0%),Rmergeが0.077(0,391)であったが,SPring-8においては,それぞれ,77.8%(48.7%),Rmergcが0.053(0.345)であった.
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