1998 Fiscal Year Annual Research Report
体外に取り出したZebrafish培養脳における神経細胞の移動経路の解析
Project/Area Number |
10878113
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中安 博司 岡山大学, 理学部, 助教授 (60135465)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 脳 / 培養 / モノクローナル抗体 / 神経細胞 / グリア細胞 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュの神経細胞の培養を続けていたが、ちょっとしたミスがきっかけになり、体外に取り出した脳全体を培養して長時間保持できることに気がついた。神経細胞を培養するときは、もちろんトリプシンで個々の細胞に解離してから行うのであるが、ある日不注意でかなり大きな脳の破片が入ったままで培養を続ける事になった。脳の破片は放置しておくと、そのうちに死んで分解するだろうと思っていたが、解離された神経細胞が脳の破片に成長因子・栄養因子を補紹するフィーダー細胞として働いたらしく、一週間経ってもそのまま生きて残っている事に気がついた。この方法を発展させると、脳を生かせたまま培養維持できるのではないかと考えて、試行錯誤を行った。脳を単離して、培養するというシステムにおいて、単離脳が生きているのではないか、ということを支持する以下のような証拠が得られた。 (1) 脳の形態やマクロな内部構造はよく維持されている。このことは、全脳の走査電顕による形態観察と切片による観察で確認できた。 (2) 西洋ワサビパーオキシダーゼの逆行輸送が培養した後の脳の各部において認められる。このことは、神経細胞が軸索輸送機能を保った状態で生存していることを示す。 (3) 培養後、脳をトリプシンで分散し、単離した神経細胞を調べたところ、良好な生存率を示した。 (4) 脳を培養した後、切片をニッスル染色し、培養前と比較したところ、神経細胞の配置には大きな変化が無いことが分かった。 (5) ダリア細胞の分布を調べたところ、アストロサイトもオリゴデンド口サイトも生存していることが分かった。 (6) 特異的な神経細胞のマーカーとなるモノクローナル抗体で調べたところ、神経細胞も培養後生存していた。 現在1週間は安定して維持できるようになっている。 ゼブラフィッシュの脳は小さく、培地中から充分な酸素とグルコースが入ってくると想像している。
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