1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10878125
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹下 淳 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (50263009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駆動 明 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (70178002)
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Keywords | 骨芽細胞 / ファシクリンI / 骨膜 / カドヘリン / 骨肉腫 |
Research Abstract |
1 マウスOSF-2の機能解析 OSF-2は私達がクローニングした遺伝子の中でも骨芽細胞系でのみその発現が認められる極めて骨組織特異性の高い遺伝子である。OSF-2蛋白質は昆虫ののファシクリンIやヒトβIG-H3と構造類似性を示し、ファシクリンIファミリーの1つである。ファシクリンIはショウジョウバエにおいて神経軸索誘導に関与している分子と考えられている。OSF-2は90kD分子として細胞外に分泌されることがこれまでの研究によりわかったが、その機能については今のところ不明である。ところが、以下の点においてこの遺伝子が骨代謝に於いて極めて重要であることを示すデータを得た。1)内膜性骨化である長管骨骨膜下と頭頂骨の骨形成部位でのみ発現しその部位に局在すること。2)活性型ビタミンD3やTGFb等の骨制御因子により発現が制御されていること。3)骨芽細胞の分化初期段階から発現しこのプロモーターにはNF-IL6及びCBFA1等の転写因子結合部位が存在し、しかもこれらの転写因子により発現が誘導されること等があげられる。 2 ヒト・マウスOBカドヘリンの機能解析 OBカドヘリンは骨芽細胞に発現するカドヘリンとして単離したもので、カルシウム依存性の同種間接着の機能を有している。カドヘリン分子は癌の形成転移と密着に関係することが知られており、骨芽細胞の癌である骨肉腫についてOBカドヘリンの存在を検討した。その結果、骨肉腫では正常の120kDのカドヘリン分子はほとんど存在しない。正常型は膜上で切断され、大部分が分泌型に変化していることが明らかになった。また転移型ではさらにバリアントと呼ぶRNAのオールタナティブスプライシングによる蛋白質も比較的多く発現し、正常型の接着能を制御することが明らかになった。すなわち,OBカドヘリンの制御が骨肉腫の増殖、転移に関与している可能性が高いことを見出した。私達はさらに最近ヒトB細胞上にOBカドヘリンが発現していることを見出している。B細胞の多くは骨髄において形質細胞に分化し、抗体産生するようになるが、形質細胞と骨組織との細胞接着にOBカドヘリンが関与している可能性が考えられる。
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[Publications] Jitsutaro Kawaguchi: "Expression and function of the splice variant of the human cadherin-11 gene in subordination to intact cadherin-11" J.Bone Miner.Res.(in press).
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[Publications] Horiuchi K.: "Identification and characterization of a novel protein,Periostin(OSF-2)with restricted expression to periosteum and periodontal ligament and increased expression by transforming growth factor beta" J.Bone Miner.Res. (in press).
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[Publications] 川口実太郎、工藤 明: "骨芽細胞に発現するカドヘリン、特にOBカドヘリンの役割" メディカルレビュー社, (1998)