1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網の形成が可能な初代培養細胞を凍結保存により随時使用する方法の確立
Project/Area Number |
10878146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大木 和夫 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (80115394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 宏美 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (80281963)
大場 哲彦 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (10250664)
宮田 英威 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90229865)
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Keywords | 神経細胞 / 凍結保存 / 初代培養 / 神経回路網 / 海馬ニューロン / グリア細胞 / 顕微鏡観察 / 温度抑制 |
Research Abstract |
脳の記憶精神作用の解明は自然科学の21世紀の課題となっている。記憶精神作用は脳神経細胞の回路網形成が重要な役割を担っており、神経回路網を形成する実験系を用意することが研究を大きく進展させる。回路網を形成する初代培養系はGoslinとBankerの方法でラット胎児脳の海馬細胞で行われているが、熟練した技術が要求される。そこで、神経細胞を凍結保存し、必要時にしようする方法の確立を試みた。神経細胞はラットの妊娠18日の胎児脳から海馬神経細胞と大脳のグリア細胞を調製して使用した。一海馬神経細胞はウシ胎児血清(FBS)90%とDMSO10%の培地で-85℃で一晩凍結させ、それを液体窒素中に凍結保存した。解凍は、培養培地の温度とpHを炭酸ガス培養装置内で平衡としたシャーレに、37℃で解凍した細胞を素早く蒔く。この凍結・解凍方法で、回路網形成まで行えたが、さらに、蛍光抗体を用いて、微小管の形成とシナプスの形成を確認した。一方、栄養供給のためのグリア細胞を凍結保存することも試みている。また、、神経細胞の培養に温度制御が重要であるので、顕微鏡下での試料温度を正確に制御するとともに、迅速に温度を変える目的で、ペルチエ素子を用いた温度制御ステージを試作した。試作品を用いて、空浸の対物レンズと組み合わせた場合には、顕微鏡で5℃から40℃への温度ジャンプが2分以内で完了することを確認した。これは、今まで用いていた恒温水循環式の温度制御ステージに比較すると、到達時間が一桁速いので、細胞を対象として多くの応用が考えられる。しかし、油浸の対物レンズを用いた場合には、試料から対物レンズを通じて熱が逃げるために、室温から離れた温度では、温度制御自体が困難になる。現在、これを克服するため、顕微鏡のステージ付近の環境温度も同時に制御するような改良を行っている。
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[Publications] 栗原和男、大場哲彦、大木和男他5名: "Incorporation of impurity to tetragonal lysozyme crystal" J. Crystal Growth. (in press). (1999)
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[Publications] 高橋 浩、村山俊介、大木和男他4名: "Effects of diacylglycerol on the structure and phase behaviour of non-bilayer forming phospholipid" Biophysical Chemistry. (in press). (1999)