1998 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲での同期的振動への関連が予想される海馬GABAニュ・ロンの水平ネットワーク
Project/Area Number |
10878150
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 孝一 九州大学, 医学部, 助手 (50253414)
|
Keywords | GABA / 海馬 / インターニューロン / gap junction / OSCillation / parvalbumin / synchro nization / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
当初の研究計画に沿って、代表的な海馬GABAニューロンであるパルブアルブミン(PV)含有ニューロンが、gap結合を介する水平方向の密な樹状突起ネットワークを形成している可能性を追究し、以下に示す成果を得た。今年度末の日本解剖学会で発表する予定である。始めにPVニューロンの樹状突起の分布を、光学顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡で概観した。PVニューロンの樹状突起は、海馬の上昇層/海馬白板境界部で水平方向に非常に密に分布し、かつそれらが多数の部位でお互いに接触していた。さらに電子顕微鏡によって、同部位のPV陽性樹状突起間に明白なgap結合を多数確認した。次にどのようなPVニューロンが樹状突起ネットワークを形成するかを検討したが、当初より気づいていた新型PVニューロン、即ち上昇層/海馬白板境界部にある細胞体から長い樹状突起が同境界部に沿って水平方向にひろがり、直径1mmものdendriticfieldを形成するもの(水平型)のみならず、既知の垂直型PVニューロンの樹状突起も末梢部分がほぼ水平方向になって、上昇層/海馬白板境界部樹状突起ネットワークに入り込むことを新たに見い出した。このことはすべての垂直型PVニューロンに認められ、よって海馬のPVニューロン全体が水平方向樹状突起ネットワークを形成することを意味した。さらにNeuroLucidaを用いて樹状突起の三次元的形態を追跡し、上記のことを立体的に確認したが、特に垂直型PVニューロン樹状突起の水平方向への広がりが、直径0.5mmから1mmにも及ぶことを見い出した。これは海馬の主要なGABAニューロンであるbasketcell/axoaxoniccellに相当する垂直型PVニューロンについての従来の見方を一変するもので、それらが広範囲におよぶ樹状突起ネットワークに直接参加することを意味する重要な所見である。
|