1998 Fiscal Year Annual Research Report
着床直後のマウス胚に発見された新しい発生異常の解析
Project/Area Number |
10878155
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 信夫 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 教授 (20001852)
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Keywords | 卵筒胚 / 原子内胚葉 / 胚体外胚葉 / 細胞接着 |
Research Abstract |
我々は着床後間もないマウス胚に幾つかの新しい型の発生異常を見出した。当研究では異常発生の遺伝学的基礎を明らかにする目的で、受精後6.5日を中心に異常の種類と頻度を調査し、信頼の置けるデータを得る努力をすることを心掛けた。 今年度は胚体外胚葉が接着性を失い原羊膜腔に充満する異常について特に注目した。内臓壁内胚葉にも異常が認められることから両者の相互作用を明らかにする期待も込めたものである。129/SvXDBAの交配では461個の胚を調べた。興味深いことに異常胚の出現頻度は、胚を子宮から取り出す際に用いる縁類溶液に左右されることが判明した。Ca^<++>とMg^<++>を含まないPBSを用いると32%の高頻度で異常が認められたが、MEMあるいはCa^<++>、Mg^<++>を含むPBSではほとんど異常胚は認められなかった。同様な知見はC57BL/6×DBA、はC57BL/6×C57BL/6でも認められた。明らかにCa^<++>とMg^<++>の欠乏が原因と思われる。しかしながら、同じ処理を受けながら異常を示さないものもあり、異常となる素質は各々の胚で決まっている可能性が高い。胚発生における細胞接着の重要性を考慮に入れると、この現象は接着の人工的撹乱の手法としての利用も考えられよう。いずれにせよ、条件をさらに厳密にして検討をすすめる予定である。
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