2002 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・アフリカにおける地域編成 原型・変容・転成
Project/Area Number |
10CE2001
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白石 隆 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (40092241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 剛 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (60127066)
田中 耕司 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10026619)
古川 久雄 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00026410)
市川 光雄 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50115789)
小杉 泰 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50170254)
|
Keywords | 地域研究 / アジア・アフリカ / 地域間研究 / グローバリゼーション / 近代世界システム / 文化再編 / 国民国家 / 生態環境 |
Research Abstract |
平成13年度までと同様に、3つの研究クラスターからなる研究実施態勢、そして3つのワーキング・グループ(以下、WG)からなる研究支援態勢を踏襲し、生態環境と物質文化、民族・社会・文化、国家とシステムの3つのレベルでの研究を、研究会の開催、関連資料の収集・整理、資料・研究情報の発信などを通じて実施した。また、それぞれの対象地域を横断的に比較・鳥瞰する地域間比較研究も前年度に引き続き実施した。さらに5年間の研究成果を総括するために、5冊の図書の出版を企画した。このうち「アジア-変容する風土』と「アフリカの力』は平成15年度に刊行する予定である。 東南アジア研究クラスターでは、3つの研究レベルに対応したサブクラスターが連携して、以下の成果を得た。生態環境サブクラスターでは、生態的地域研究臨地ステーションの布置、Asian Eco-technology Networkの構築、腸管感染症研究ネットワークの構築などを通じて、「自然科学を含む総合-生態重視の地域研究」を推進した。社会文化サブクラスターでは、東南アジア大陸部の民族間関係に関する国際ワークショップInter-Ethic Relations in the Making of Mainland Southeast Asia and Southwestern China under 'Globalization'を京都で開催した。また「民族間関係・移動・文化再編」と「支配の制度と文化」の両研究会を継続して開催した。政治経済サブクラスターでは、国家と市場、ヘゲモニーとネットワーク、地域システムと世界システムを鍵概念として「国家・市場・共同体」のテーマで連続した研究会を開催した。 南・西アジア研究クラスターでは、「イスラーム書誌学」「現代イスラーム世界」などの共同プロジェクトに関わる多くの研究会を昨年度に続けて開催し、南アジアと西アジアの比較に基づく総合的地域像をめぐる論議を深化した。研究成果の公表に関連して、「イスラーム政治思想データベース」など南・西アジアに関するデータベース、および「CD-ROM版Al-Manar』を公開した。図書資料の収集も継続して実施し、日本随一のイスラーム関係図書をさらに充実させた。 アフリカ研究クラスターでは、「アフリカ研究会」を継続し、日本滞在中の第一線外国人研究者を迎えて6回の研究会を開催した。また国際シンポジウム"Multidimensionality of Displacement Risks in Africa"を開催し、現代アフリカ最大の政治・社会問題である難民問題について国内外の関連研究者との議論を深めた。さらにアフリカ生態地域データベース構築の一環として、参加型データベース入力ツールを完成した。これにより、プロジェクト・メンバーが、データベースの構築に直接参加することができるようになり、将来的に発展性のあるデータベースとなった。 以上の各クラスターによる研究活動に加えて、「地域がつくる人物」「災害と地域」「地域を支えるモノ、地域をつくるモノ」の3つの比較軸をテーマとする地域間比較研究会を継続して実施した。 5年間にわたるこれらの研究活動を総括して世に問うことを目的に、平成14年度国際シンポジウム開催経費の助成を得て、平成14年10月に「グローバル化と地域形成」を共通テーマに国際会議を開催した。世界システム論の泰斗、エマヌエル・ウォラーシュタインの問題提起を受けてパネル・ディスカッションを行なった。 これらの研究活動に加えて、研究支援についても中核的研究拠点と呼ぶにふさわしい体制が整備され、情報発信はさらに充実した。図書WGは、購入された図書・資料の遅滞ない整理作業に従事し、本プロジェクト終了時点で総計約8万冊の整理・配架を完了する。さらに現地語図書等の遡及入力も大幅に進展した。地図・画像WGでは、地図・人工衛星画像資料等の結合型データベースと検索システムを公開し、さらに多様なデータベースを統合するメタデータベース・システムをほぼ完成させた。東南アジア研究クラスターによるオンライン・ジャーナルKyoto Review of Southeast Asiaは第2号Disaster and Rehabilitationを発行し、歴史をテーマとする第3号も準備中である。
|
Research Products
(38 results)
-
[Publications] Tanaka Koji: "Kemiri (Aleurites moluccana) and Forest Resource Management in Eastern Indonesia : An Eco-historical Perspective"アジア・アフリカ地域研究. 2. 5-23 (2002)
-
[Publications] 田中耕司: "生態学的アジア地図"青木保他編『アジア新世紀 空間 アジアへの問い』岩波書店. 57-75 (2002)
-
[Publications] 加藤剛: "開発と革命の語られ方-インドネシアの事例から-"民族学研究. 67(4). 367-392 (2003)
-
[Publications] 市川光雄: "『地域』環境問題としての熱帯雨林破壊:カメルーンの例"アジア・アフリカ地域研究. 2. 292-305 (2002)
-
[Publications] 山田勇: "エコツーリズムと生態資源"科学. 72(7). 690-695 (2002)
-
[Publications] 山田勇: "山の森世界"科学. 72(12). 1221-1225 (2002)
-
[Publications] 山田勇: "東南アジア大陸部のモンスーン林"エコソフィア. 10. 54-61 (2002)
-
[Publications] Yamada Iamu(編): "Disaster and Rehabilitation"Kyoto Review of Southeast Asia. 2(オンライン・ジャーナル). (2003)
-
[Publications] 坪内良博: "都市フロンティアとしてのバンコク"三田学会雑誌. 95(2). 207-220 (2002)
-
[Publications] 立本成文: "わが国のアジア研究の現状および今後の展開"学術月報. 55(4). 364-368 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "メガワティ政権の現状と展望"『インドネシア・メガワティ政権下の政権運営』財団法人国際金融情報センター. 1-12 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "アジアの知的交流の現状と展望"国際交流. 97. 54-57 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "『日本化』と『中国化』が東アジア秩序形成の鍵を握る"中央公論. 118(1). 34-37 (2003)
-
[Publications] Shiraishi Takashi: "Building Closer Ties with ASEAN"Japan Echo. April. 8-12 (2002)
-
[Publications] 古川久雄: "雲南民族生態誌"古川久雄, 尹紹亭編『民族生態-从金沙江到紅河』雲南教育出版社. 1-97 (2003)
-
[Publications] 白石隆: "日本・ASEAN拡大FTAを提言する"中央公論. 117(2). 68-76 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "民族問題を考える(1)国民問題"外交フォーラム. 4月号. 70-75 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "門族問題を考える(2)民族問題"外交フォーラム. 5月号. 66-71 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "民族問題を考える(3)複合問題"外交フォーラム. 6月号. 76-81 (2002)
-
[Publications] 白石隆: "インドネシアの危機と東アジア地域秩序"慶應義塾大学地域研究センター編『変わる東南アジア、危機の教訓と展望』慶応義塾大学出版会. 3-40 (2002)
-
[Publications] 吉原久仁夫: "東南アジアの経済発展メカニズム:なにが分かっているのか"東南アジア研究. 39(4). 449-477 (2002)
-
[Publications] 玉田芳史: "タイ軍の人事異動と政治力低下"アジア・アフリカ地域研究. 2. 120-172 (2002)
-
[Publications] 田中雅一: "発達における儀礼の意義"教育と医療. 584. 12-18 (2002)
-
[Publications] 田中雅一: "ヒンドゥー寺院の法人類学-チダンパラム・ナタラージャ寺院の事例をめぐって(1850-1980)"山路勝彦, 田中雅一編『植民地主義と人類学』関西学院大学出版会. 181-206 (2002)
-
[Publications] 徳永宗雄: "『マハーバーラタ』第12巻の成立に関する覚書"『印度学仏教学会』日本印度仏教学会. 41(1)(印刷中). (2003)
-
[Publications] 徳永宗雄: "「平安の巻」と水供養-『マハーバーラタ』第12巻の形成過程を探る-"『東方学』財団法人東方学会. 104. 169-155 (2002)
-
[Publications] Koyama Naoki 他: "Population and social dynamics changes in ring-tailed lemurs at Berenty, Madagascar between 1989-1999"Primates. 43(4). 291-314 (2002)
-
[Publications] 太田至: "家畜の個体性と商品化:東アフリカの牧畜民は資本主義者か"アジア・アフリカ地域研究. 2. 306-317 (2002)
-
[Publications] 重田眞義: "アフリカにおける持続的な集約農業の可能性:エンセーテを基盤とするエチオピア西南部の在来農業"掛谷誠編『アフリカ農耕民の世界』京都大学学術出版会. 163-195 (2002)
-
[Publications] 重田眞義: "エチオビア高地の定期市-コーヒーの葉とエンセーテを交換する"科学. 12. 1248-1252 (2002)
-
[Publications] 重田眞義: "根栽型作物からみたアフリカ農業の特質:バナナとエンセーテの民族植物学的比較"アジア・アフリカ地域研究. 2. 44-69 (2002)
-
[Publications] Tokunaga Muneo: "Kaazikaal-3 1章-3章(613KB)[インド土着文法学の代表的な論書の一つ『カーシカー・ヴリッティ』]"http://tiger.bun.kyoto-u.ac.jp/pub/mtokunagaのftp site.で公開(電子テキスト). (2002)
-
[Publications] Tokunaga Muneo: "Divyaavadaana(1.4MB)[仏教比喩文学作品『ディヴヤ・アヴァダーナ』]"http://tiger.bun.kyoto-u.ac.jp/pub/mtokunagaのftp site.で公開(電子テキスト). (2002)
-
[Publications] 掛谷誠編著: "講座・生態人類学 アフリカ農耕民の世界:その在来性と変容"京都大学学術出版会. 200 (2002)
-
[Publications] 井狩彌介, 渡瀬信之(共訳): "ヤージュニャヴァルキヤ法典"平凡社. 372 (2002)
-
[Publications] 田中雅一, 山路勝彦(共編): "植民地主義と人類学"関西学院大学出版会. 567 (2002)
-
[Publications] 古川久雄, 尹紹亭編: "民族生態-从金沙江到紅河"雲南教育出版社. 434 (2003)
-
[Publications] Hayashi Yukio, Thongsa Sayavongkhamdy: "Cultural Diversity and Conservation in the Making of Mainland Southeast Asia and Southwestern China : Regional Dynamics in the Past and Present"Amarin(in press). (2003)