2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本における日比混血児の人種化――可視性、分類化、相互作用
Project/Area Number |
10F00016
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊藤 るり 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROUSTAN Frederic 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Japanese-Filipino Children / 混血児 / 人種化 / ビジュアル・カテゴリー / アイデンティティ / バイカルチュラリズム / 視覚的相互作用 |
Research Abstract |
日本における「混血児」人口の人種化という問題に取り組むため「Japanese-Filipino Children (JFC)」を事例として平成22年年10月から平成23年3月までを予備調査に充て、フィールドワークを行った。主な考察点は以下の三点である。 1.まず、日比混血児の社会=政治的カテゴリーについて考察した。日比混血児のカテゴリーが歴史的に形成される過程に着目し、この分類がどのように、またどのような主体によって作られていたか、さらに集団国籍確認訴訟のような問題提起がいかなる歴史的経緯で進められてきたかを見た。2.日比混血児という分類の構築過程において、子供達はどのようにこの分類を生き、これに関与し、反応しているのか、また母親のアイデンティティをどう受けとめているかといった点を考察した(放棄、受け入れ、バイカルチュラリズムへの志向、新しい文化への志向など)。3.さらに、日比混血児の経験に関しては、視覚的相互作用の概念を用いた考察も試みた。すなわち視覚的相互作用の中で、日比混血児が可視性をもちいながら境界横断を行う様子を明らかにしている。 具体的には以下を実施した。10月から12月までに日本におけるJFC研究、混血児研究、人種・エスニシティ論および移民研究、Visual Sociologyに関する論文の収集を行った。また、JFC研究、混血児研究、人種・エスニシティ論と関係ある日本人専門家とコンタクトを取り、本研究について意見交換した(12人)、移民研究会と関係ある研究会やフィリピン研究のシンポジウムに参加した。12月から3月末まで、NGO (Citizen's network for Japanese-Filipino Children、Center for Japanese-Filipino families、Development Action for Women Network)などに対し、インタビューを実施した。インタビューは、毎週3人程度の関係者に対し行い、合計23人にインタビューを行った。さらに、JFCと関係ある大きなイベントに3回参加し、参与観察を行った(ラップコンサート、クリスマスパーティー、東京地方裁判所国籍確認訴訟)。23年度9月にパリで開催される「混血児」専門の国際的なシンポジウムに発表するために、収集したデータの分析を開始した。
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