2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランシウム電気双極子能率の相対論的多体理論計算による標準模型を超える物理の研究
Project/Area Number |
10F00023
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒見 泰寛 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HULIYARSUBBAIAH Nataraj 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 外国人特別研究員
|
Keywords | 電気双極子能率 / フランシウム / 相対論的結合クラスター理論 / 時間反転対称性 / CP非保存 / 超対称性 |
Research Abstract |
基本粒子における電気双極子能率(EDM)の存在は、時間反転対称性の破れを意味し、CPT不変性を考慮すると、これはCP非保存を意味する。標準模型では、電子EDMの寄与は極めて小さく、標準模型を超える現象を探索するのに有力な管測量である。アルカリ原子のように、最外殻に1個の不対電子をもつシンプルな原子構造をもつ元素では、相対論効果により、電子EDMが増幅されることが示唆されており、特に、最大の原子量をもつアルカリ原子・フランシウム(Fr)では、最大の増幅度を持つため、電子EDM探索を行う上で、きわめて重要な元素となる。原子EDMの観測値から、電子EDMの値を高精度で抽出するためには、その増幅度の高精度計算が必要である。今年度は、任意の次数まで、EDMの増幅度、極性分子における内部有効電場、超微細構造定数等、原子の基底状態および励起状態の様々な物理量を計算する相対論的な理論計算手法を、相対論的結合クラスター計算をもとに開発を行った。この手法を用いて、FrのEDM増幅度の精度をさらに向上させるとともに、同じ手法により、Xe原子の準安定状態における電子EDMの増幅度をはじめて計算を行った。さらに、極性分子・YbFの基底状態における有効電場の計算を進め、極性分子における電子EDMの増幅度に関して、議論を深めた。
|
Research Products
(1 results)