2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロバッキーボウルおよびキラルバッキーボウルの合成研究
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10F00035
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAN Qitao 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 外国人特別研究員
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Keywords | バッキーボウル / ヘテラバッキーボウル / スマネン / アザスマネン / ボウル反転 / ボウルキラリティ |
Research Abstract |
本研究は、おわん型共役化合物「バッキーボウル」の電子移動特性制御に関連した、バッキーボウルのキラリティの制御や、骨格の一部の炭素原子を窒素原子等のヘテロ原子に置換したようなヘテラバッキーボウルの合成、特にボウルキラリティを有するC3対称ヘテラバッキーボウルとその誘導体に焦点を絞り、その世界初合成と、電子輸送能を含めた物性評価を行うことを目的としている。 研究初年度にあたる22年度においてすでに当初の目的化合物であるスマネン骨格の外郭6員環に窒素原子をC3対称で導入したトリアザスマネン骨格の合成に成功しており、23年度においては、はじめにこれらのデータを検証し、論文としてまとめることに注力した。 同時に、既に合成を達成した誘導体は、硫黄を含む置換基が導入されており、その置換基の効果によって結晶構造が本来のトリアザスマネン骨格が有する特徴を反映していない可能性があったため、置換基を含まない(無置換)トリアザスマネンの合成にも取り組んだ。そのためには従来法とは異なる還元反応の開発が必要となり、検討の結果、パラジウムと銅の二つの金属試薬を組み合わせ、またアルキル置換シラン化合物を還元剤として用いることで、歪みの大きな芳香環の還元が進行しない、新たな硫黄官能基の選択的還元除去反応の開発に成功し、本反応を適用することで、無置換トリアザスマネンの合成にも成功した。さらに既存の手法を組み合わせることで、様々な置換基を有するトリアザスマネンの合成が可能な経路を見出したので、24年度において詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるトリアザスマネンの合成は既に達成している。あとは最終年度で論文としてまとめることができれば完全に計画通りであり、現在の進展状況ではそれ以上が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの結果を論文として公表することが最重要課題であり、時間が許せば、発展的研究も進める予定である。全てにおいて研究の推進は予定通りで問題がない。
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