2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロバッキーボウルおよびキラルバッキーボウルの合成研究
Project/Area Number |
10F00035
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAN Qitao 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 外国人特別研究員
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Keywords | バッキーボウル / ヘテラバッキーボウル / スマネン / アザスマネン / ボウル反転 / ボウルキラリティ |
Research Abstract |
本研究は、おわん型共役化合物「バッキーボウル」の電子移動特性制御に関連した、バッキーボウルのキラリティの制御や、骨格の一部の炭素原子を窒素原子等のヘテロ原子に置換したようなヘテラバッキーボウルの合成、特にボウルキラリティを有するC3対称ヘテラバッキーボウルとその誘導体に焦点を絞り、その世界初合成と、電子輸送能を含めた物性評価を行うことを目的としている。 23年度までにすでに当初の目的化合物であるスマネン骨格の外郭6員環に窒素原子をC3対称で導入したトリアザスマネン骨格の合成、および、新たな硫黄官能基の選択的還元除去反応の開発に成功し、本反応を適用することで、無置換トリアザスマネンの合成に成功しており、最終年度においては、第1に、無置換トリアザスマネンの発表へ向けたデータの整理を中心に研究を行った。その結果、無置換トリアザスマネンのX線単結晶構造解析に成功し、その構造が、我々が当初期待していたスマネン様の垂直カラム構造ではなく、ボウルキラリティが反映された、キラルヘリカル構造をとっていることが明らかとなった。これは、これまでのバッキーボウル誘導体では見られなかった初めての形式であり、物性発現においても極めて興味深い現象である。 さらに既存の手法を組み合わせることで、様々な置換基を有するトリアザスマネンの合成が可能な経路を見出し、その一例として、ピリジン窒素のアルファ位にアリール基を導入した一連の化合物の合成経路を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
無置換のトリアザスマネン合成相当困難が予想されていたが、2年間の研究期間内に見事達成し、しかも結晶構造の解析まで成功しており、計画以上に順調に研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、共同研究者である大学院生が本系を引き続き研究を進める予定である。特に、ピリジン窒素を用いた金属錯体形成に注力して行く予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Chemical Synthesis of Nitrogen-doped Buckybowls2012
Author(s)
H. Sakurai, Q.-T. Tan, S. Higashibayashi
Organizer
8th IUPAC International Symposium on Novel Materials and their Synthesis and 22th International Symposium on Fine Chemistry and Functional Polymers
Place of Presentation
Grand New World Hotel, Xian, China(招待講演)
Year and Date
20121014-20121019
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