2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリン錯体触媒による超高エネルギー効率での水分解/酸素発生
Project/Area Number |
10F00037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 主幹教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZAHRAN Zaki N 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 水の分解触媒 / 卑金属イオン / 過電圧 / 電解 / 水素生成 |
Research Abstract |
水の4電子酸化反応は、植物等の光合成における当該反応の研究から水素エネルギー社会におけるグリーン水素の効率的生産に至るまで、環境に負荷を与えず、かつ理論的に高効率で物理エネルギーを化学エネルギーへと変換する反応として重要であり、世界中で急速に研究展開されている領域である。現在、世界中で競って研究がされている「人工光合成」反応の成否は如何に水を低エネルギーで完全分解できるかにかかっている。この目的を実現するため本年度は次の目標で研究を進め、以下の成果を得た。 (1)マンガン等各種の遷移金属イオンを有するポルフィリン二量体の合成とその電気化学的反応の検討:既にマンガンポルフィリン二量体の電極上への修飾により低電位、高い触媒回転数(TN)/触媒回転速度(TOF)での水の触媒的完全分解を確立した。これに基づき遷移金属第一列イオンを含む類似のポルフィリン二量体触媒を合成し、電極上への修飾により中性水溶液で水分解過電圧を最小とする錯体を発見した。 (2)導電性電極上への固定に適した官能基を有するポルフィリン二量体の合成と電極への固定と水分解触媒反応:電極上への分子触媒の固定には、電極表面と反応する極性官能基数が多いほど、触媒反応中の電極表面からの分子触媒の脱離が抑えられる。そこで電極上に固定するために複数個の官能基を含むアンカー分子を結合したマンガンポルフィリン二量体を合成した。 (3)ポルフィリン二量体以外の水の酸化分解を可能とする金属錯体の精査とその電気化学的反応検討:水分解触媒として金属ポルフィリン二量体以外の卑金属錯体を検討した結果、中性水溶液中で水の酸化放電電圧の過電圧η>0.3Vにて反応する分子触媒を発見した。この触媒を導電性電極上に固定すると、20時間以上、定電位電解しても電流量の低下は見られなかった事から、水分解触媒として有望である。
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