2010 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバ通信用光機能素子を目指した窒化インジウム系半導体のMOVPE成長
Project/Area Number |
10F00059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 竜二 東北大学, 金属材料研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Yuantao 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | InN / 加圧型MOVPE |
Research Abstract |
InNは窒化物半導体の中で最も長波長にバンドギャップエネルギを有し、現行の光ファイバ通信帯域のレーザへの応用が期待できる。また本材料系の特徴としてフォノンエネルギーが高いことに起因し、既存材料と比較しバンドギャップエネルギの温度依存性が著しく小さいと予測され、かつヘテロ接合により大きな障壁高さを実現できることから、温度安定性に優れた高出力素子の可能性を秘めている。本年度は、有機金属気相成長法(MOVPE)を用いたInN薄膜の高品質化の実証を狙った。InNの特徴として、成長中の気相-固相間の窒素平衡蒸気圧が極めて高いことを踏まえ、窒素を取り込みやすいN極性面を用い、かつ独自開発した加圧型MOVPE装置を用いてInNの熱分解を抑制し、十分な窒素分圧を供給しながら、結晶高品質化に必須である高温下での成長が可能であることを実証することを目的とした。実際に加圧型MOVPE装置を用いて結晶成長を試みたところ、これまで既存の反応炉では成長が不可能であった600℃以上の高温成長を行うことで、室温におけるバンド端発光を実現した。成長圧力として1600~2400Torrという広い領域において成長が可能であることも判明し、それぞれの圧力印加の条件における、成長限界温度を明らかにした。一方、比較的低温で成膜した場合、X線回折極点図測定による構造特性評価結果によると、準安定相である立方晶InNとその双晶の混在が認められた。これらの構造解析結果と光学特性、表面平坦性などの評価結果をもとに、更なる高品質化の指針が得られた。
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