2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ膜を利用した高効率分子抽出・分離技術の開発
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10F00064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CANNON J.J. 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カーボンナノチューブ / 分子抽出・分離膜 / 浸透流 / 分子動力学 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
本年度は,単層カーボンナノチューブ膜を用いた高い分子抽出・分離デバイスの開発を目指し解析的研究を行った.特に,海水淡水化技術を念頭に,直径数ナノメートルの単層カーボンナノチューブ膜を用いた浸透圧による水とイオンの分離に関して詳細な解析を遂行した.単層カーボンナノチューブ内の流動は,単層カーボンナノチューブと流体の界面の構造及び熱・電気的な相互作用に強く依存するため,解析には分子シミュレーションを用いた.流動を伴う非平衡系の計算は大型分子動力学計算を用いて行い,水の単層カーボンナノチューブ膜への吸着特性等の平衡系の計算にはモンテカルロ法を用いた.また,これまであまり議論されて来なかったナノチューブへの流入・流山条件も含めた解研も評爺出に行った. 以上の解析の結果,達成される浸透圧力勾配はイオン半径やカーボンナノチューブ直径に強く依存することがわかった,さらに,侵透圧力勾配が極大を取るイオン半径が存在することが明らかになり,イオンの種類やカーボンナノチューブ直径の最適化によって,分離効率が制御できる可能性が示された.溶液内の分子の動径分布関数やカーボンナノチューブ内を輸送される水分子にかかる力を詳細に検証することで,浸透圧力勾配の極大が,溶液が有する2つの異なる相状態のバランスによってもたらされることを明らかにした.これらの成果は来年度の国際学会(2件)に採択されている. さらに,単層カーボンナノチューブ膜を用いたガスの分離技術の開発を念頭に,単層カーボンナノチューブ膜への気体分子の吸着特性に関してもモンテカルロ法を用いて研究を進めた.単層カーボンナノチュープ膜への水の吸着等温線を計算し,計算系の検証を行った.
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