2012 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ膜を利用した高効率分子抽出・分離技術の開発
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10F00064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CANNON J.J. 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カーボンナノチューブ / 分子抽出・分離膜 / 浸透流 / 分子動力学法 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ膜を用いた高い分子抽出・分離デバイスの開発を目指し,主に解析的研究を行った.昨年度に引き続き,単層カーボンナノチューブ膜を用いたガス分離技術の開発を念頭に,気体分子の単層カーボンナノチューブへの吸着現象の解析を進め,一定の結論を得た.具体的な解析手法としては,単層カーボンナノチューブ膜の主な構成要素である単層カーボンナノチューブ束を対象とし,アルカン分子吸着のグランドカノニカルモンテカルロ法計算を行った.昨年度に引き続き,単層カーボンナノチューブ束の表面に存在する異なる吸着サイトへの吸着量の,アルカン分子量,温度,圧力への依存性の検証を進めた.加えて,各吸着サイトでのアルカン分子の配向などの,吸着構造を詳細に検証することを通じて,選択性へのエントロピー効果を議論した.昨年度は,温度や圧力に依存して吸着されるアルカンに選択性が生じることを明らかにし,温度や圧力をサイクルさせることによってカーボンナノチューブ膜のガス分離への応用の可能性を見出したが,今年度はそれに加えて,現実的な熱力学的条件における選択性の有用性についてさらに検討を進めた.フガシティーと圧力の関係をRedlich-Kwongの状態方程式によって求めて計算結果を整理することによって,上記の選択性を吸着モデルで表現した.なお、混合体を取り扱う際の混合則にはLewis and Randall則を用いた.これらの成果を論文(Journal of Physical Chemistry B 2012,116,4206-4211)として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,単層カーボンナノチューブを用いた高い選択性及び輸送効率を有する分子抽出・分離デバイスの設計に向け,大規模古典分子動力学解析やモンテカルロ法計算を適材適所に用いたマルチスケールシミュレーションを実践した.設計に必需な基礎現象の理解を進めるために,ナノチューブ内部の水の流動を検証し,流動への幾何学的およぶ熱力学的パラメータの影響や,単層カーボンナノチューブ端での境界条件の影響の詳細を明らかにした.さらに,単層カーポンナノチューブ膜を用いたガス分離技術の開発を念頭に置いた気体分子の単層カーポンナノチューブへの吸着現象の解析にも研究を発展させており,おおむね順調に進展していると判断する.
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Research Products
(5 results)