2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフィニティタグを利用した葉緑体内包膜の蛋白質輸送装置TICの単離と解析
Project/Area Number |
10F00091
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 正人 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOCELYN Bedard 大阪大学, 蛋白質研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 葉緑体 / 蛋白質輸送 / 膜蛋白質複合体 / トランスロコン / オルガネラ / シロイヌナズナ / 生合成 / 蛋白質膜透過 |
Research Abstract |
葉緑体を構成する3000種以上とも予測される葉緑体蛋白質のうち90%以上はサイトゾルのリボソームによって合成された後、外包膜と内包膜という二重の包膜を通過して葉緑体内部へ輸送される。蛋白質輸送を支えているのが、それぞれの膜に存在する蛋白質透過装置TOC(複合体およびTIC複合体である。エンドウにおける膜透過中の前駆体の架橋実験によって同定されたpsTic20は、内包膜内在性の4回膜貫通型蛋白質であり、TIC複合体の膜透過チャネルを構成する蛋白質であると考えられている。psTic20に最も相同性の高いシロイヌナズナ相同蛋白質としてatTic20-Iが存在し、このatTic20-Iの発現をアンチセンスRNAによって抑制した変異体は、pale greenおよび成長阻害の表現型を示す。シロイヌナズナのゲノムには、psTic20と最も相同性の高いatTic20-I,比較的相同性の高いatTic20-IV,これらとはやや相同性の低いatTic20-II,atTic20-Vの4つの蛋白質がコードされている(Tic20の後のギリシャ数字は染色体番号に対応)。当研究室では、シビアなアルビノ形質を示すシロイヌナズナtic20-I欠失変異体においては、Tic20-IVの発現量が増加していること、tic20-I欠失変異体でTic20-IVを過剰発現させるとアルビノの葉が部分的に黄緑色を回復すること、tic20-I/tic20-IV二重変異体が致死となることから、atTic20-IとatTic20-IVには部分的な相補性があることを明らかにした。またアルビノのtic20-I欠失変異体においては、光合成関連蛋白質の蓄積はないものの、ハウスキーピング的に働く葉緑体蛋白質の蓄積は見られることから、葉緑体内包膜にも、atTic20-Iを中心とする光合成関連蛋白質に特異性が高い蛋白質輸送装置と、atTic20-IVを中心とするハウスキーピング蛋白質に特異性が高い輸送装置の、2種類が存在するというモデルを提唱した。
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